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「日本代表の誰々ではなく、今なら『アーセナルの冨安健洋』のほうが何十倍も」酒井高徳が明かす“プロサッカー選手の価値”

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2023年11月24日

「軽く返事するもんじゃなかった」

ハンブルクではキャプテンの重責を担った酒井。写真:GettyImages

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 その価値観は子どもの頃から持っていたのか。そう訊くと、「いや、全然」とシンプルに答が返ってくる。

「本格的にプロを目指そうと意識しはじめたのが中学2、3年の頃。世代別代表に選ばれて海外の選手と戦うようになってからですね。で、プロになって、ドイツに行って、そこで日本代表のチームメイトである(香川)真司くんがドルトムント、(内田)篤人くんがシャルケでやっているのを見たら、自分もそこに行きたい想いがすごく強くなって。いつか彼らのようになりたいと思いながら日々トレーニングをしていました」

 確固たる信念を持ってサッカーと向き合っていたからだろう。ハンブルクではチームキャプテンを任されている。2016年当時、ブンデスリーガで日本人選手が主将を務めるのは史上初めてのことだった。

「(16年11月に)代表活動から戻ってきたら、(マルクス・ギズドル監督に)呼ばれて『キャプテンを代えようと思っている』と。そんな話から始まったんですよ」

 酒井選手曰く「この時はまだキャプテン交代が責任重大なことだと気付いていない」。

「何試合かゲームキャプテンを代えるレベルの話だと勝手に思い込んでいて、『いいよ、やりますよ』って安請け合いしてしまったんです」

 後に酒井選手は「軽く返事するもんじゃなかった」と反省する。とはいえ、後悔はなさそうだった。そもそも彼にキャプテンの資質があるということは、次のコメントからも分かる。

「チームに加入した頃から自分なりに気を遣って選手たちとコミュニケーションを取っていました。それを続けつつ、チームがどっちを向いていいか分からない時に正解、不正解は関係なしに自分なりの答を示しました。どんな局面でも矢面に立つ。そんなスタンスでピッチの中でも外でも一生懸命にやった自負はあります」
 
 異国の地で、しかも異国の選手、監督と接しながらチームをまとめる。こんな骨の折れる作業を、酒井選手はどうこなしたのか。

「一番気を付けていたのは接し方です。選手それぞれに独自の国民性があったので。メンタルが弱い人もいれば、強いヤツもいる。エゴイストもいれば、協調性を重視するプレーヤーもいる。チームに長く在籍しているとそういうところは見えてくるので(ハンブルクには4年間在籍)、キャラクターに合った接し方で信頼関係を築くようにしていました」

 これを聞いて、素直に思った。この男、たとえ一般企業に勤めていたとしても成功していたはずだ。

<パート3に続く>

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

<選手プロフィール>
酒井高徳(さかい・ごうとく)
1991年3月14日生まれ、新潟県出身。176センチ、74キロ。三条SSS-レザーFCJrユース-新潟ユース-新潟-シュツットガルト(ドイツ)-ハンブルク(ドイツ)-神戸。ワールドカップ参戦2回(14年、18年)。12年のロンドン五輪にも出場と、国際経験が豊富。Jリーグ屈指のDFで、プレーはもちろんメディアへの対応も一流である。

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