プレースタイルの親和性も、タケが案じているポイントの１つだ。彼がラ・マシアで育んだポゼッションを重視したサッカーでより輝くのは、ソシエダで実証している通り。また異なったサッカーを志向するマドリーではその親和性が低下することは避けられず、それが疑問の種となっている。

　マドリーの幹部は日増しに復帰に前向きな姿勢を示している。ドイツの移籍専門サイト『Transfermarkt』によると、タケの推定市場価格は5000万ユーロ。つまり3000万ユーロで呼び戻すことができるマドリーは、転売目的でも、利益を得ることができる。

　一方、タケも重要な切り札を持っている。それはマドリーが年俸において優先交渉権を有していることだ。 どういうことかというと、プレミアリーグのクラブがタケに破格の年俸をオファーした場合、マドリーが呼び戻しを希望するのであれば、少なくとも同額の年俸を提示しなければならない。
 

　つまりタケはこのまま進化を続ければ続けるほど交渉で要求できる余地が広がるわけで、クラック級の待遇で復帰することができれば、それがすなわちチーム内の序列上昇にも繋がってくる。

　マドリーは来夏、攻撃陣のテコ入れを図る方針で、当然、タケは補強候補の１人に入ってくる。タケもそのことは知っており、同時に自らの要求に説得力を持たせるためにこれからも自己研鑽に励む覚悟だ。

　マドリーはラ・リーガ復帰への扉を開いたクラブであり、レンタル先を探す際にも、あらゆる便宜を図ってきた。タケはもちろんそのことには感謝している。

　しかしそれと控え扱いを受け入れるのとは別の話で、彼が復帰にゴーサインを出すのは、競争を勝ち抜くことができれば、主力として活躍できるという確約を得た時だけだ。マドリー復帰が消滅すれば、プレミア行きも選択肢に入っているが、大きな幸せを掴んだサン・セバスティアンを離れてまでチャレンジする価値があるかどうかはまだ決めかねているところだ。

文●セルヒオ・サントス（『Relevo』レアル・マドリー番）
翻訳●下村正幸

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