上田のシュート力に関しては、鹿島のレジェンド・柳沢敦（ユース監督）も「スピード感やパワフルさ、ボールを受けてすぐにゴールに向かえる身体の向きという点で、綺世は本当に頭抜けている。（小笠原）満男も『自分が見てきたなかで一番ヘディングの上手いFWだ』と絶賛していました」と語っており、世界トップクラスと言っても過言ではない。

　そこは本人も自信を深めている部分で、「シュートの威力とか迫力は（サンティアゴ・）ヒメネスに比べてもあるほうだと認識はされています」と前向きに語っていた。

　目下、フェイエノールトでは今季のリーグ戦で13得点という凄まじいゴールラッシュを見せているヒメネスがファーストチョイスと位置づけられているが、上田には上田のストロングがある。そこは日本代表では他の誰にもない部分。対アジアの戦いでは圧倒的な武器になるはずだ。

　ビッグクラブ移籍で新境地を開拓しつつあるFWを今、ここで使わない手はないと森保監督も考えているはず。ここまで代表で２ゴールにとどまっている上田が、格下相手に固め取りしてくれれば、代表50ゴールの岡崎慎司（シント＝トロイデン）や25ゴールの大迫勇也（神戸）のような頭抜けた得点源になれるかもしれない。彼らも格下相手の試合で複数得点を重ねて、そこまでの実績を積み上げたのだ。

　25歳の上田には先人たちに肩を並べるチャンスがある。今回のミャンマー戦で高さ・強さ・収める力・多彩なシュートパターンという自身の能力をいかんなく発揮して、日本を勝利に導いてくれれば理想的。
 

　スタメンの上田が早い段階で複数得点できれば、細谷にチャンスを与えることも可能になる。10月シリーズで評価を上げた浅野との競争で優位に立つためにも、このチャンスを無駄にしてはいけない。

　浅野に関しては、より相手の実力が上がる21日のシリア戦でのスタメンが有力視される。森保監督も会見で浅野を左MF候補に挙げており、もしかするとミャンマー戦では同ポジションでの先発もあり得る状況だ。

　そのままシリア戦もスタメンとなれば、コンディション的には厳しくなるが、彼は難しい局面になればなるほど結果を出す選手。その勝負強さは折り紙付きだ。

　２次予選で最も厳しいゲームになると目されるシリア戦に向け、まずは調子を上げることに努めると同時に、ミャンマー戦でいざという時に備えてほしいものである。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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