【今季の目標達成へのポイント】
 
　森保監督の下で、広島は４年間で３度のリーグ優勝を果たした。当然、周囲の期待は高まる。リーグ連覇だけでなく、アジアの舞台での成功にも目が向けられる。
 
　指揮官は「高みを目指していくことは常に考えていかないといけない」と新シーズンを見据えたが、同時に「クラブの規模が変わったわけじゃないですし、これまでやってきたことを忘れちゃいけない。現実を忘れず、一戦一戦を大切に戦って積み上げた結果、タイトルにつなげられればと思っています」と話した。
 
　クラブが16年のスローガンに掲げた言葉も『挑戦』。タイトルを守るのではなく、再び掴み取りにいく気持ちを持つことが今シーズンの成功の最初のポイントだろう。
 
　そして、選手一人ひとりが成長してチーム力を高めていけるか。昨季のドウグラスや浅野　に続く新星の台頭も、欠かせないポイントである。ブレイク候補と呼べる選手たちは少なくない。経験豊富なベテラン勢が壁となって立ちはだかるため、まずはレベルの高いチーム内の競争に打ち勝つことから始まるが、そうやって競争力が高まれば、チーム力は確実に高まっていくはずだ。
 
　広島は戦力の増強を大型補強に頼れないクラブだ。国内とアジアの両方で結果を出していくためには、こうした選手一人ひとりの成長から、競争力の向上、チーム力アップという循環に乗ることこそが、唯一の方法論と言っていい。
 
文：寺田弘幸（フリーライター）