逆境や試練を糧に、マイナスをプラスに――それがG大阪の5番を継承した丹羽という男である。
丹羽は今回の“誤審”を詰問するでもなく、「こういうタイトルマッチというか、ビッグゲームでこういうことが起きてしまったのは事実。今後こういうことが起こらないように、日本サッカー界として考えていけばいい。僕がそのきっかけになれればいいかな、というぐらいの感じ」と、清々しい表情で語る。
さらに、サッカー少年の未来まで見据えて、こう続けるのだ。
「少年たちも今日の試合を観ているわけですし、そういう子どもたちがプロになった時、『昔、丹羽選手にこういうことがあって、僕らがプロになってからなくなったね』というのがワンシーンでも増えれば、僕はすごく幸せ。それぐらいの気持ちでいます」
ある種、割り切ったような表情で言葉を紡ぎながら、一瞬、間が空いた。丹羽は「ただ……」と語り出す。
「サポーターの方には、すごく申し訳ないという気持ちがある。ここから取り返せるかどうかは、自分たち次第だと思う。僕はサッカー選手として、また成長させてもらいましたし、人としても成長させてもらえる機会を得たので、これを良い教訓にしていきたい。ACLでもいろんな笛があると思うので、そういう免疫が付いたと思う。この経験を自分の糧にしていきたい」
どこまでもポジティブに、そして前向きに物事を捉える。G大阪サポーターなら誰もが知るところだが、誤審の被害者となってもその姿勢は変わらない。
逆境や試練を糧に、マイナスをプラスに――それがG大阪の5番を継承した丹羽という男である。
取材・文:大木 勇(サッカーダイジェスト編集部)