【プレミア現地コラム】実現すれば55年ぶり。トッテナムは「本物の優勝候補」だ

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2016年02月18日

26節を終えた時点でリーグ最少の20失点

守備力が飛躍的に向上したのは、このアルデルワイレルドの活躍はもちろん、偏っていた攻守のバランスをチームとして改善した成果だろう。 (C)Getty Images

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 ところが今シーズンは、26節を終えたプレミアリーグで最少の20失点に抑えている。
 
 最終ラインでは確かに、前監督のティム・シャーウッドが「今シーズンのプレミアで最高のディフェンダー」と絶賛するトビー・アルデルワイレルドが、際立った活躍を披露している。
 
 とはいえ一人のCBの力だけで、昨シーズン同時期に「36」を記録した失点数を大幅に減少させるのは難しい。偏っていた攻守のバランスを、チームとして改善した成果だろう。
 
 例えば、マンチェスター・C戦で頻度の高い攻撃参加が光ったSBは、左のダニー・ローズだった。本来は、同様に攻撃力を売りとする右のカイル・ウォーカーが担う役割ながら、この試合では自重した。窺えるのは、監督の細かい指導であり、指示である。
 
 それは、セントラルMFのムサ・デンベレにも当てはまる。昨シーズンまでは果敢に突破を狙い、ボールを失う姿が目立った。しかし、デル・アリという攻撃面で力を発揮するタレントが台頭した中盤で彼は、自慢のボールコントロールで安定感を生み出す役割を与えられているようだった。
 
 無論、アグレッシブンな基本姿勢は不変だ。83分の決勝ゴールは、4人がかりでトゥーレ・ヤヤからボールを奪い取った守備がきっかけ。そこからドリブルで持ち上がったエリク・ラメラのアシストは、あえて好調のアリを下げ、フレッシュなエネルギーを注入した勇気ある交代策の賜物だ。
 
 敵地でマンチェスター・Cを下したのは、クラブ史上初めてチャンピオンズ・リーグ出場権を獲得した09-10シーズン以来。今回の喜びは、そのときに勝るとも劣らないだろう。
「マウ・ポー」と共にひと皮むけた新生トッテナムは、トップ4入りどころか悲願達成を、すなわち55年ぶりのリーグ制覇を狙う権利を手にしたのだから。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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