個人では、ドイツでは出番が限られている田中が２点を取ったし、代表２試合目の毎熊や町田、大怪我から戻ってきた中山など、いろんな選手が活躍して、しっかりホームで勝ち切ったことも収穫だ。

　彼らが勝ちゲームのなかで結果を出してくれたのは、チームの競争原理を良い意味で煽るきっかけになる。

　怪我が心配だけど、試合に出るたびに点を取っている中村は、見ていて面白い。代表４試合で４得点。アタッキングサードではコンビネーションで崩したりもするけど、キックに自信を持っているからシュートを狙っていけると思うし、今の代表でこれだけ高い得点率を誇る選手はいないんじゃないかな。

　久々の代表復帰となった南野も、ボールタッチやゴールへの嗅覚などが戻ってきている印象を受けた。シュート精度はまだ改善の余地があるだろうけど、頼もしさを感じた。
 

　川辺と旗手も、所属するリーグのレベルは別として、自チームでは結果を出している。ふたりとも自ら突破するだけでなく、ボールを失なわずに前に運べる力があり、レベルは高い。

　彼らが代表で良いプレーを披露できれば、呼び続けられる逸材だと思っている。そんな選手が、コンディション不良などで不参加になった選手の繰り上げで呼ばれているくらいだから、日本の選手層は相当厚くなっている。

　17日のチュニジア戦は、カナダ戦に出ていない久保、上田、板倉、菅原、伊藤洋らを起用して、どこまでやれるのかを試すだろう。どんなコンビネーションを見せてくれるのか楽しみだし、勝って連勝を伸ばしてほしいね。

【著者プロフィール】
金田喜稔（かねだ・のぶとし）／1958年２月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車（現・横浜）でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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