左SBの本命候補。約1年ぶりに代表復帰した中山雄太に、あえて注文をつけるなら...

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2023年10月10日

森保監督も絶大な信頼

持ち前の守備力と同様、攻撃面でもより進化した姿でアピールしたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 そういう意味でも、中山の復帰は朗報だ。もともと彼は守備力に定評があるし、機を見て攻撃参加するのも得意。長友や森下のようにダイナミックなアップダウンを繰り返すタイプではないが、確実に戦況を見つつ、的確なポジションを取りながら、攻守のバランスを考えたプレー選択ができる。

 だからこそ、森保監督は彼に絶大な信頼を寄せてきたし、「2026年W杯の本命左SB」とも位置づけているはず。それだけのクオリティを今回、中山が示してくれれば理想的である。

「カタール・ワールドカップ前と今の違い? そこはもうプレーを見ていただいて、みなさんの判断で評価していただければいいと思います。僕自身は『怪我を治す』という意識で取り組んでいたわけじゃなくて、『新しい中山雄太として帰る』というのを頭に置いてやってきた。それをしっかりプレーで表現したいと思っています」と、本人は進化した姿を示そうという意欲満々のようだ。

 中山にあえて注文をつけるなら、攻撃面でチームを大いに活性化するようなアグレッシブなパフォーマンスを見せること。前回W杯の最終予選で彼が完全に長友からレギュラーを奪い切れなかったのは、高度な国際経験値の差もあったが、攻撃の推進力や迫力という部分で見劣りするところがあったからだろう。
 
 伊藤洋もガンガン前に出ていくタイプではないが、高精度のロングフィードという大きな武器がある。そういった明確なストロングや武器、他選手との違いを中山にも示してほしいところ。

 もともとCBやボランチもこなせる守備面の万能型で、守りのほうはまったく不安はないが、ただ守れるだけの選手では怖くない。

 縦関係を形成する選手によって、動き方やサポートの仕方も変わってくるが、そういう部分も含めて「効果的な攻撃ができる左SB」だということを実証できれば、「ポスト長友問題」が、これ以上議論されることもなくなるだろう。

 悲願の2026年W杯出場へ新たなスタートを切る中山。果たして彼は見る者に安心感やポジティブな驚きを与えてくれるのか。先発が想定されるカナダ戦の一挙手一投足を、まずは慎重に見極めたいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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