チェルシー時代に培ったキャプテンシー。
フートの最終ラインにおけるリーダーシップの意識は、17歳で移籍したチェルシー時代に培われたものだ。トップチームに大先輩のマルセル・デサイーや4歳年上のジョン・テリーがいる環境で「今は黙って学ぶ時」と言っていたのは、当人がリザーブチームの主力だった14年前のことで、意思疎通に必要な英語力は当時から十分持ち合わせていた。
そんな10代のフートをトップチームで起用し始めたのが、当時、チェルシーを率いていたクラウディオ・ラニエリだったのだ。
昨夏に一部のレスター・ファンにまで実力を疑問視されながら就任した現レスター指揮官にとって、「教え子」の存在は心強かっただろう。フートにすれば、恩師の徹底的な守備ドリルも慣れたもので、たっぷり時間が割かれたはずのシティ対策は、ほぼ完璧なライン制御と縦横にコンパクトな組織的守備として実践された。
シティ戦でフートは攻撃でも相手CBとの1対1で競り勝ち、値千金の2ゴールを決めて、存在感を発揮。1点目はマークに付いたマルティン・デミチェリスをクロスボールへの迫力で上回って、2点目はハイボールの競り合いに圧勝してダメ押し弾をヘディングで決めている。
日曜紙の写真を見て思い浮かべたのは、イングランド北東部にある「エンジェル・オブ・ザ・ノース」という高さ20メートルの彫刻だ。羽を広げた鋼鉄製の天使には、工業で栄えた過去への別れと新時代への希望が込められている。
シティとの首位攻防戦を制して、優勝を夢見るようになったミッドランド東部のレスターでは、降格の危機に別れを告げた昨シーズン後半から191センチで彫刻像のような肉体を持つフートが、人々に希望を与えているのだ。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
そんな10代のフートをトップチームで起用し始めたのが、当時、チェルシーを率いていたクラウディオ・ラニエリだったのだ。
昨夏に一部のレスター・ファンにまで実力を疑問視されながら就任した現レスター指揮官にとって、「教え子」の存在は心強かっただろう。フートにすれば、恩師の徹底的な守備ドリルも慣れたもので、たっぷり時間が割かれたはずのシティ対策は、ほぼ完璧なライン制御と縦横にコンパクトな組織的守備として実践された。
シティ戦でフートは攻撃でも相手CBとの1対1で競り勝ち、値千金の2ゴールを決めて、存在感を発揮。1点目はマークに付いたマルティン・デミチェリスをクロスボールへの迫力で上回って、2点目はハイボールの競り合いに圧勝してダメ押し弾をヘディングで決めている。
日曜紙の写真を見て思い浮かべたのは、イングランド北東部にある「エンジェル・オブ・ザ・ノース」という高さ20メートルの彫刻だ。羽を広げた鋼鉄製の天使には、工業で栄えた過去への別れと新時代への希望が込められている。
シティとの首位攻防戦を制して、優勝を夢見るようになったミッドランド東部のレスターでは、降格の危機に別れを告げた昨シーズン後半から191センチで彫刻像のような肉体を持つフートが、人々に希望を与えているのだ。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。