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甲府から京都へ、15歳で立った重要な岐路。“王様”からチームのために戦える選手に変貌【パリの灯は見えたか|vol.4 川﨑颯太】

カテゴリ:Jリーグ

松尾祐希

2023年09月21日

「タメ口で『おい』みたいなキャラだった」

U-22日本代表でもいつしか主力に。世代を牽引している。写真:松尾祐希

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 川﨑は面談の際に甲府の関係者に自らの意向を伝えた。すると、甲府の関係者は面識がある京都のスタッフに話を持っていき、次の進路がスムーズに決まるように手配をしてくれたという。

「甲府の中でも引き止めてくれる方もかなりいました。でも、『自分の成長のためだから行ってこい』と言ってくれる人も割といたんです。本当に感謝しかないですね」

 こうして生まれ育った甲府を離れた川﨑。ひとりで縁もゆかりもない京都で新生活をスタートさせることになったが、京都での挑戦が今後のキャリアを形成するうえで大きな意味を持った。

 合流初日、練習場に行くと、甲府時代と同じように持ち前の物怖じしない性格で仲間の輪に入ろうと試みた。しかし――。当時を振り返り、川﨑は「自分で言うのは恥ずかしいんですけど…」と前置きをしながらこう話す。

「本当に王様みたいな振る舞いだったかもしれません。1つ上だろうと、2つ上だろうと、タメ口で『おい』みたいな感じで言うぐらいのキャラだったので、それを関西に来ても続けたら、『誰だ、お前?』みたいになってしまって。

(今思えば、)後輩がいきなりタメ口を聞くのはよく思われないですよね。それでちょっと呼ばれて指摘を受けたんです。流石にその態度は改めたほうがいいと。そこで気が付いたんです。甲府で自分は特別扱いをしてもらっていたんだなと。一からもっと誠実に振る舞わないといけない、頑張らないといけないなって思いましたね」

 そのため、チームメイトの輪に入るまでは少し時間がかかった。関東と関西では言葉やノリも異なるため、なかなか適応できなかったのだ。しかし、京都の選手たちはほとんどが提携している立命館宇治高に通っている。寮だけではなく学校でも生活をともにすることで、徐々に打ち解けていった。川﨑はプレー面でも、京都に来て“王様”タイプからの脱却を決意する。
 
「京都に来てから今のような、ガツガツ守備で頑張るような選手になりましたね。やっぱり、1つ上の福岡慎平くんや2つ上の財前淳くんなど、とんでもない人たちがいたので自分が王様でいてはいけないと気が付いたんです」

 1年生の5月に左膝の半月板を損傷したが、逆にこの時期に身体を作れたことや自分と向き合う時間を作れた点は今後の成長に大きな意味を持った。

「1回外から見ることで考える時間になった。身体付きもかなり変わって、筋力トレーニングをするようにもなりましたし。そういう意味では必要な3か月間だったと感じます」

 復帰後は練習から先輩たちに遠慮せずにぶつかり、怯まずにボールを奪いにいくスタイルにトライ。そうしたプレーを続けていくと、いつの間にか自分の武器になっていた。

「すごい先輩たちに対して、ガツガツボールを取りにいけば、成長できるんだろうなと思って取り組んでいったら、そういうプレーが自分の持ち味になっていきました」

 翌年2月には右膝の半月板を損傷するアクシデントもあったが、2年次を迎えると、福岡が代表活動でチームを抜ける時が多かったこともあり、代わりに試合に出る機会が増えた。そして、高校ラストイヤーを迎える。

「本当に高校3年生が一番伸びた時期。自分がチームの中心になってやらないといけない、キャプテンとして頑張らないといけないという自覚が芽生えたからこそ、プレーの幅や責任感がより高まったと思う」

 京都に来て3年。候補には山田楓喜(現・京都)なども挙がっていたが、周りからの推薦でキャプテンを任されるまでに成長を遂げた。

 そこには“王様”のように振る舞っていた川﨑の姿はない。チームのために身を粉にして戦い、誰よりも仲間のために走り続けた。京都U-18でのプレーが認められ、9月には初めて世代別代表にも招集。「別世界だと思っていたので選ばれるとは思っていなかった」という憧れの日の丸を背負う機会を手にした。
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