今季、横浜Ｆ・マリノスからセルティックに移籍した岩田は、ここまでスコットランドリーグでの出番こそなかったものの、CBに退場者が出たこともあって67分から緊急出場した。しかし、その１分後にはホルムが危険なタックルでレッドカード。フェイエノールトは俄然勢いを増し、72分のヘールトラウダのゴールはVARによりオフサイドで取り消されたものの、76分にはジャハンバフシュのゴールで０－２とされてしまう。

「ひとり退場してしまって、厳しい状況のなかでの出場でしたけれど、しっかり（やるべきことを）理解していました。そのうえで失点してしまったということは自分のなかで悔しい部分があります。あのまま０－１のまま試合を続けていれば、１回はチャンスがあると思っていたので、自分としては０－１のままで進めたかったというのがあります」（岩田）

　ふたり退場者が出た点について、岩田は「なかなかないシチュエーションでした」と苦笑い。それでも欧州サッカー最高峰の舞台でのプレーに「やはり出る、出ないはすごく全然違いますし、自分にとってどんな状況だろうが、この１試合に出場できたことはすごく大きな経験にもなりますし、大きな意味があります。相手もオランダ王者ですし、すごくプレッシャーのあるなか、楽しい…緊張感のあるなかでやれたんじゃないかと思います」と語った。
　
　チームが完敗した直後だけに、岩田は「楽しい」と言ってから「緊張感のあるなかでやれた」と言い換えた。しかし「楽しさ」はあったはず。

「はい。楽しさはありました。負けてしまいましたが、楽しさという部分では、そうですね。なきにしも（あらず）…。試合前からすごく楽しみにしていた部分なので、そこはありますね」（岩田）

　言い換えを繰り返し、表情に緊張感を保ちつつも、CL出場を実現したことに対する静かな喜びが滲んでいた。
 

　２－０。しかも終盤は11人対９人ということで、フェイエノールトの快勝に終わったこのゲーム。勝ったホームチームのサポーターはもちろんのこと、完敗に終わったセルティックのサポーターも最後まで大声援を送って選手たちを盛り上げ、タイムアップの笛が鳴っても彼らはチームを責めることなくく温かった。すごく良いファンたちだと私は思った。

「はい、そうですね。厳しさもあるなかですが、こうやって負けてもしっかり声援してくれるサポーターに対して、次はしっかり勝利を届けることができよう、良い準備をします」（岩田）

　昨季は１勝すらできなかったCLのセルティック。前田は「昨季は個人としてもチームとしても何もできなかったので、今回はっていう思いで僕自身もやっている」とリベンジに燃える。今季完全移籍を果たした岩田も「前半の試合を見れば、やれると思う」とCLの勝利に意欲を燃やした。

取材・文●中田 徹

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