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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の五十六「欧州のビッグクラブ、そして日本のU-23代表も利用。“2トップのアドバンテージ”をJクラブも再考すべきだ」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年02月04日

日本は「ストライカー不在」以上に「ストライカー不遇」なのではないか。

先のアジア最終予選でリオ五輪行きを勝ち取ったU-23代表は、鈴木(右)+久保(左)など基準点型+スピード/テクニック系というセオリーに倣って2トップを構成。相手ディフェンスの脅威となり続けた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 欧州では自然の流れで2トップが復活を遂げつつある。
 
 一方、Jリーグでは2トップを採用しているチームはまだまだ多くはない。とりわけJ1では鹿島アントラーズ、ベガルタ仙台などの4-4-2がむしろマイノリティーと言えるだろう。
 
 その点、リオ五輪出場を決めた先のU-23代表の戦い方は、一つのヒントになるかもしれない。手倉森誠監督が率いるUー23代表では、2トップの利点が大いに引き出されていた。基準点型の1人が前線で身体を張って起点を作り、そこで生まれたスペースをもう1人のスピード/テクニック系のFWが利用する――。単純な仕組みだったが、相手へのダメージは大きかった。
 
「ストライカー不在」と言われて久しい日本サッカー界だが、実は「ストライカー不遇の時代」とも言えるのかもしれない。“戦術”の旗印の下、ゴール以外に求められる仕事があまりに多い。プレッシング、カバーリング、ポストワーク、サイドに流れてのスペース作り……。いくつもの任務をこなすうち、ゴールという本業が御座なりになっているのだ。
 
 そのとどめに、2人ではなく1人で得点を取る責務を与えられることになったら――。
 
「2トップにすれば勝てる」とは、もちろん言わない。しかし、もし指導者が守備ありきの戦術から脱却し、「主導権を握って相手にダメージを与える」という戦術的視点で挑むことができれば、2トップは有益な一つの選択肢になる。ストライカーは2人だけで得点を取る術を持っている。なぜなら、ストライカーは特別な“種族”のようなモノであり、どこかで分かり合い、それによって容易に敵を出し抜くことができるからだ。
 
「1トップで守備と攻撃のバランスを大事に」
 
 この戦術的な固定概念に、囚われるべきではない。
 
文:小宮良之
 
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓する。
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