ドイツの力が落ちているのも事実だろう。これで公式戦３連敗になってしまったし、日本戦を見て厳しいと感じた。

　ディフェンダーはラインが高すぎるうえに、背後へのケアが足りない。前述の上田に加えて、浅野にも独走を許した。このレベルで、あれだけの独走はなかなか見られない。ともに、キーパーのテア・シュテーゲンの好守で何とか防いだけど、もっと失点していてもおかしくなかった。

　中盤の選手は、ザネ以外はドリブルで仕掛ける意識が薄く、パスを足もとで受ける場面が目立ち、相手の背後を取る姿勢も乏しかった。空中戦も目立たず、攻撃のバリエーションにも欠けていた。

　センターフォワードのハバーツは、サイドにフラフラと流れてばかりで、日本に脅威を与えられなかった。実績十分のミュラーが途中から出てきたけど、本来であれば世代交代によって押し出されていないといけない選手だ。

　ドイツの先行きは厳しそうだね。次のフランス戦の結果次第で、監督の交代もあるだろう。

　全体的に、日本の良さとドイツの低調が重なった試合だったと感じた。
 

　森保ジャパンのブロック主体の守備は、パス攻撃主体のヨーロッパ勢に通用している。今後、期待したいのは、近年勝てていないブラジル、ウルグアイ、コロンビアら南米の強豪からの勝利だ。ブロックを敷かれても個人技で打開してくる国々に対して、どう戦うか。

　次は、12日のトルコ戦。相手は近年、ワールドカップやユーロでの活躍がないし、国内クラブもチャンピオンズリーグで結果を出せていない。日本が負けてしまったら、ドイツ戦の勝利の意味が薄くなってしまう。

　トルコはドイツ戦を見て警戒を強めて、しっかりと分析、研究してくるだろう。それでも、内容、結果ともに求めたい。しっかりと２連勝して、ヨーロッパ遠征を締めてほしいね。

【著者プロフィール】
セルジオ越後（せるじお・えちご）／1945年７月28日生まれ、78歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部（現・湘南ベルマーレ）で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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