「航の姿勢を見てトミ、大地は育ったんじゃないか」STVVから羽ばたいた冨安・遠藤・鎌田の“1期生トリオ”は何が違ったのか~立石敬之CEOに訊く【現地発】
カテゴリ:海外日本人
2023年09月07日
「航はちょっと岡ちゃんに似ているかもしれません」
――選手の入団挨拶を見ても「冨安選手、鎌田選手、遠藤選手のようにここで活躍して羽ばたきたい」と言う。第1期の壁とでも言うんでしょうか、彼らが偉大すぎる
「本当に3人のメンタリティが高かった。彼らは上を見ているのではなく、上の上を本気で見ている。その違いは大きい。STVVから移籍してからも彼らとは話をするけれど、『彼らのメンタリティは違うな』と思った。なかでも航の存在が大きかったかな」
――冨安、鎌田両選手と比べ、STVV時代の遠藤選手はいつも先発というわけではなかった。彼がSTVVに残していったものとは?
「大きかったでしょうね。年齢的にひとり、お兄さんで一番危機感があったからね。25歳で初めての海外ということで、本人も手探りでやっていた。常にスタメンだったわけでなく、試合に出られないときもあった。そのときの航の姿勢を見てトミ(冨安)、大地は育ったんじゃないか。
『一般的に言う“フットボーラー”としての才能はないです』と航なら言うと思うけれど、彼には特殊な才能がある。例えば認知能力・察知能力・考える力・準備する力――。そういういろんなものが必要なんだろうなって、1期と2期を見て思いました。いまや航は日本代表のキャプテンです。本当に努力してそこまでいった選手ですよね。ちょっと岡ちゃん(岡崎慎司)に似ているかもしれません。
あと、2期のときは私たち(強化部)が怖がって守備的な監督を選んできたなと思っている。(冨安、鎌田、遠藤の力を引き出した)マルク・ブライス監督(現ルーバン)は攻撃的に戦っていたけれど、2期初期のケビン・マスカット監督(現横浜F・マリノス)で結果が出ず残留争いになって、私たちが怖がって守りに入った。次にピーター・マースというベルギーらしい堅いサッカーをする監督を招いて、守りを固めて戦った。その次が(ベテランでメンバーを固める)ベルント・ホラーバッハ監督だったから。
攻撃的に行きたいという本質を持っていても、強化部から『立石さん、怖い』って言われると『そうだよな。ベルギーだし守備からだよな』という私がいた。だけど『もう、守備的なサッカーは見たくない』という私もいて、今季は攻撃的に行くことにした。それでもまだリスクがあるから、日本のことをよく知っている指導者に任せることにした。それが神戸での経験を持つトルステン・フィンク監督」
――開幕戦直後、日本人選手たちが口々に「フィンク監督のサッカーは面白い」と話していました。
「いまのSTVVは日本のチームらしいサッカーをするので、『アタッキングサード(の攻略法を)持ってないな』って私にも課題がよく見える。第3節のアンデルレヒト戦の前半、STVVのポゼッションは70%近くありました。だけど得点を取ることができない(後半、アンデルレヒトがひとり退場者を出しながらも、結果は0-1の敗戦)。そこはチームとしてもっと突き詰めないといけない」
「本当に3人のメンタリティが高かった。彼らは上を見ているのではなく、上の上を本気で見ている。その違いは大きい。STVVから移籍してからも彼らとは話をするけれど、『彼らのメンタリティは違うな』と思った。なかでも航の存在が大きかったかな」
――冨安、鎌田両選手と比べ、STVV時代の遠藤選手はいつも先発というわけではなかった。彼がSTVVに残していったものとは?
「大きかったでしょうね。年齢的にひとり、お兄さんで一番危機感があったからね。25歳で初めての海外ということで、本人も手探りでやっていた。常にスタメンだったわけでなく、試合に出られないときもあった。そのときの航の姿勢を見てトミ(冨安)、大地は育ったんじゃないか。
『一般的に言う“フットボーラー”としての才能はないです』と航なら言うと思うけれど、彼には特殊な才能がある。例えば認知能力・察知能力・考える力・準備する力――。そういういろんなものが必要なんだろうなって、1期と2期を見て思いました。いまや航は日本代表のキャプテンです。本当に努力してそこまでいった選手ですよね。ちょっと岡ちゃん(岡崎慎司)に似ているかもしれません。
あと、2期のときは私たち(強化部)が怖がって守備的な監督を選んできたなと思っている。(冨安、鎌田、遠藤の力を引き出した)マルク・ブライス監督(現ルーバン)は攻撃的に戦っていたけれど、2期初期のケビン・マスカット監督(現横浜F・マリノス)で結果が出ず残留争いになって、私たちが怖がって守りに入った。次にピーター・マースというベルギーらしい堅いサッカーをする監督を招いて、守りを固めて戦った。その次が(ベテランでメンバーを固める)ベルント・ホラーバッハ監督だったから。
攻撃的に行きたいという本質を持っていても、強化部から『立石さん、怖い』って言われると『そうだよな。ベルギーだし守備からだよな』という私がいた。だけど『もう、守備的なサッカーは見たくない』という私もいて、今季は攻撃的に行くことにした。それでもまだリスクがあるから、日本のことをよく知っている指導者に任せることにした。それが神戸での経験を持つトルステン・フィンク監督」
――開幕戦直後、日本人選手たちが口々に「フィンク監督のサッカーは面白い」と話していました。
「いまのSTVVは日本のチームらしいサッカーをするので、『アタッキングサード(の攻略法を)持ってないな』って私にも課題がよく見える。第3節のアンデルレヒト戦の前半、STVVのポゼッションは70%近くありました。だけど得点を取ることができない(後半、アンデルレヒトがひとり退場者を出しながらも、結果は0-1の敗戦)。そこはチームとしてもっと突き詰めないといけない」
――契約を延長してSTVVに残った岡崎選手は「FWで試合に出てSTVVの100周年に名前を残したい」とコメントしました。
「うちのチームは26歳以上があまりいない、本当に若いチームです。今季は若い日本人選手が4人も来ましたしね。フィンク監督には『岡崎は試合に出ても出なくても頑張ることができる。若い日本人選手の悩みもポジティブに変換してくれると思うよ』という話をしました。
菅原由勢が日本メディアに『AZにはアイスバスもないから、バケツに氷を入れてやってます』と言っていました。オランダのトップ4でも環境面は十分ではない。でも、こういうところで頑張れるから、次に行った時に――みたいに(虎視眈々としたものを持っている)。整った環境からヨーロッパに来ている選手が多いから、菅原のようにポジティブに変換できる選手はなかなかいない。
だから岡崎の存在は大きい。ウエスカにいたこともそう。彼は何もないところから来ている。『そういう意味で、ロッカールーム内での岡崎の影響力はあるんじゃないか』とフィンク監督に言いました」
「うちのチームは26歳以上があまりいない、本当に若いチームです。今季は若い日本人選手が4人も来ましたしね。フィンク監督には『岡崎は試合に出ても出なくても頑張ることができる。若い日本人選手の悩みもポジティブに変換してくれると思うよ』という話をしました。
菅原由勢が日本メディアに『AZにはアイスバスもないから、バケツに氷を入れてやってます』と言っていました。オランダのトップ4でも環境面は十分ではない。でも、こういうところで頑張れるから、次に行った時に――みたいに(虎視眈々としたものを持っている)。整った環境からヨーロッパに来ている選手が多いから、菅原のようにポジティブに変換できる選手はなかなかいない。
だから岡崎の存在は大きい。ウエスカにいたこともそう。彼は何もないところから来ている。『そういう意味で、ロッカールーム内での岡崎の影響力はあるんじゃないか』とフィンク監督に言いました」