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「最後、“ザ・ストライカー”に挑戦したい」37歳、岡崎慎司があらためて噛み締める点取り屋としての矜持「まだ“終わり”を探してる」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2023年08月02日

「運命。この一年は監督に自分をゆだねたい」

あくまでFWでの仕事にこだわる。“開拓者”岡崎の新たなシーズンが開幕した。(C)STVV

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 6月28日、シント=トロイデンVV(STVV)は岡崎慎司との契約延長を公式サイトで発表した。そこには「FWとしても結果を残し、チームの歴史にさらに名前を残したいという気持ちになりました」という本人の意気込みが記されていた。

 昨シーズンはベルント・ホラーバッハ監督(当時)のもと、岡崎は30試合連続で先発出場した。「監督はまず、Shinji Okazakiの名前をメンバー表に書き込む」と立石敬之CEOが言うほど、指揮官の信頼は厚かった。ゴール前の嗅覚で知られるストライカーが主戦場にしたのは中盤のポジション。ピッチの中を駆け巡り、黒衣のように味方を助け続ける彼の姿には『新境地開眼』の趣さえあった。

 しかし、昨シーズン任されたタスクには、本人も納得のいかないところがあったのだろう。「FWとしても」という一言には、「俺はストライカーとして蘇る」という隠し切れない思いが滲んでいた。

 7月30日のシーズン開幕となった対スタンダール戦(1-0でSTVVの勝利)が終わってから、岡崎に「契約更新直後、『今季はFWで』というコメントがありましたが、なにか思うところがあるのでは?」と尋ねてみた。

「そうですね。昨季30試合、出たところでなにか物足りなかった。なにを以って『結果』とみるか――、そう見たときに『30試合プレーしたということを誇れない。もう一回、FWとして勝負したいな』という思いがずっとありました。そして、どれだけ出場時間が短くても10点取ることを目標にしたいと思いました。

 スペインでは試合に出たり出なかったりを繰り返していたので、『試合に出たい』という思いでシント・トロイデンに来たんですが、試合に出たからといって気持ちが満たされることはなかった。あれもこれも考えて走って守備して――。それでなにが残ったかと言うと、ちょっと膝が痛くなったぐらいで(苦笑)。まだ、“終わり”を探してますね」

――立石CEOは「ホラーバッハさんは最初に岡崎選手の名前をメンバー表に書き込むほど大好きなんです」と言っていました。

「そのことは僕も聞きました。でも僕は、それが正当な評価だとは思ってなかった。もっと僕が高いレベルを目ざすときに、中盤の選手としては底が見えている。(中盤としてのプレーが)基準を満たしていたとしても、その先はないと思う。自分が若いときはもっとガーって行けたんですけれど、今はそうじゃなくなってきてますし」

――その『ガーっ』とは気持ちですか? プレーですか?

「気持ちもそう。ここの人工芝の上で無茶するようなプレーとか。また、守備して攻撃して上がって下がっての繰り返しが、シュツットガルト、マインツ、特にレスターのときはできました。しかし、年齢(37歳)を重ねるにつれて、そういうのがしんどくなってきた」

――やっぱりしんどくなってくるものですか?

「はい。しんどいですし、身体もついてこないし。それだったらヨーロッパでの最後の挑戦として、本当にペナルティエリアのなかで勝負できるポジションで結果を求めたい。そう願っていたときに、たまたま“この監督”のもとでプレーすることになりました。それは自分にとって運命だと思って、この一年は監督に自分をゆだねたい。監督も対話してくれます」
 
“この監督”とはトルステン・フィンク新監督のこと。昨シーズンはリスクを徹底的に回避する手堅いサッカーで勝点を拾ったが、今シーズンはリスク覚悟で試合の主導権を握り、勝点を奪いに行く戦いをしようとしている。

「この監督のサッカーはやっぱり面白い」と思えるからこそ、岡崎はフィンク監督との邂逅を運命だと言えるのだろう。

「カルタヘナ(スペイン)ではFWで競争させてもらえなかったので、フィンク監督には『FWの競争に自分も入れてほしい』と言いました。毎回、練習ではワントップのポジションでやってます。あとはそこで感覚を研ぎ澄まして“一歩”とか“一瞬”とか、他(の者)には出せない自分の決定力を磨くことにフォーカスしているところです」

  岡崎がカルタヘナでプレーしたのは2021-22シーズン。そこにはルベン・カストロ(42歳。現マラガ)がいた。

「やっぱり、ストライカーは“ゴール”じゃないですか。僕がカルタヘナにいたとき、ルベン・カストロは40歳で20点取ったんです。PKが10点くらいありました。『40歳でも、ここまでゴールを任されるとこんなに取ることができるのか』と唸りました。練習でもやっぱりシュートが上手かった。そのシュート、その集中力、その1点――。僕が10本中4本しか決められなかったら、彼は8本決めるというストライカーでした。そういう『ザ・ストライカー』に最後、挑戦したいという思いがありました」
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