トレーニングの意図、狙いはピッチ外から見ても明確。

オフには闘莉王ら多数の選手が退団し、チームの顔ぶれも大きく変わった。そんななかで永井(写真)ら、昨季から主軸を務める選手たちにかかる期待は大きいはずだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
内容面でも“小倉色”はしっかりと表現されている。現状で目立つのはパスの質と、受け手の動きの質への要求だ。単純な対面パスをやるにしても、「グラウンダー、ボールスピード」という言葉が毎回のように聞こえてくる。
パス練習のバリエーションも豊富で、そのどれもが動き出しの中でパスを渡していくものばかり。動きながらパスを受け、出し、コンビネーションの距離感や感覚を養っていく狙いはピッチ外から見ても明確なだけに、選手たちにはより深く刻み込まれていることだろう。
フォーメーションでの守備練習では逐一動きを確認しつつ細部はその場で調整するフレキシブルさがあり、これも選手にとっては好印象。そういったテーマを持ったメニューを段階的に行なっていき、最後に紅白戦や7対7など、実戦形式での確認の場を設けているのも落とし込みの作業としては効率的だ。
その中で選手たちは伸び伸びとプレーし、新たなチーム作りに積極的に取り組んでいる。10名と例年以上に多い新加入選手の面々もあっという間にチームに馴染み、早くも存在感を増してきた。
とりわけ、199センチの超大型ストライカー、ロビン・シモビッチは、サイズに似つかわぬテクニックと視野の広さで巧みに周囲を活かしつつ、紅白戦ではきっちりと得点も挙げる力強いパフォーマンスを披露。
タイからやってきた韓国人ボランチのイ・スンヒも、パワフルな対人守備と鋭いフィード、危機察知能力などが光る。小川佳純はじめ周囲の選手が「スンヒはかなり“使える”」と、現場レベルの評価も上がってきた。
新加入でいえば経験豊富な安田理大と独特のドリブル突破が魅力の新人・高橋諒による、左SBのポジション争いも面白い。右の矢野貴章vs古林将太もそれぞれの良さがあり、彼ら4人にそのままサイドハーフを含めた上下のサイドを任せても機能しそうな攻撃能力を持っている。
もちろん、新戦力に加え、永井謙佑や田口泰士、川又堅碁ら既存の中心選手たちもモチベーション高く今季を迎えている。負傷で出遅れた選手も数名いるが、新チームの出だしとしては良好な状態と言っていい。
いまだ対外試合を行なっていないため、実戦での動きはまったくの未知数だが、少なくともチーム作りの方向性やプラン、練習の雰囲気などにこれといった問題点はない。むしろ、未知数の部分が「どこまで良くなっていくのか」と思える。それが小倉隆史GM兼監督率いる新チームに対する正直な感想だ。
取材・文:今井雄一朗(スポーツライター)
パス練習のバリエーションも豊富で、そのどれもが動き出しの中でパスを渡していくものばかり。動きながらパスを受け、出し、コンビネーションの距離感や感覚を養っていく狙いはピッチ外から見ても明確なだけに、選手たちにはより深く刻み込まれていることだろう。
フォーメーションでの守備練習では逐一動きを確認しつつ細部はその場で調整するフレキシブルさがあり、これも選手にとっては好印象。そういったテーマを持ったメニューを段階的に行なっていき、最後に紅白戦や7対7など、実戦形式での確認の場を設けているのも落とし込みの作業としては効率的だ。
その中で選手たちは伸び伸びとプレーし、新たなチーム作りに積極的に取り組んでいる。10名と例年以上に多い新加入選手の面々もあっという間にチームに馴染み、早くも存在感を増してきた。
とりわけ、199センチの超大型ストライカー、ロビン・シモビッチは、サイズに似つかわぬテクニックと視野の広さで巧みに周囲を活かしつつ、紅白戦ではきっちりと得点も挙げる力強いパフォーマンスを披露。
タイからやってきた韓国人ボランチのイ・スンヒも、パワフルな対人守備と鋭いフィード、危機察知能力などが光る。小川佳純はじめ周囲の選手が「スンヒはかなり“使える”」と、現場レベルの評価も上がってきた。
新加入でいえば経験豊富な安田理大と独特のドリブル突破が魅力の新人・高橋諒による、左SBのポジション争いも面白い。右の矢野貴章vs古林将太もそれぞれの良さがあり、彼ら4人にそのままサイドハーフを含めた上下のサイドを任せても機能しそうな攻撃能力を持っている。
もちろん、新戦力に加え、永井謙佑や田口泰士、川又堅碁ら既存の中心選手たちもモチベーション高く今季を迎えている。負傷で出遅れた選手も数名いるが、新チームの出だしとしては良好な状態と言っていい。
いまだ対外試合を行なっていないため、実戦での動きはまったくの未知数だが、少なくともチーム作りの方向性やプラン、練習の雰囲気などにこれといった問題点はない。むしろ、未知数の部分が「どこまで良くなっていくのか」と思える。それが小倉隆史GM兼監督率いる新チームに対する正直な感想だ。
取材・文:今井雄一朗(スポーツライター)