後半になって町野が前線より落ち気味に、ボールに関わることでビルドアップの流れが良くなり、後半の逆転につながったということもある。開幕から３試合はフル出場。ゴールを決めた前節のシャルケ戦は73分、そしてパダーホルン戦は85分にピッチを退いた。
【動画】今季２点目！ 町野の鮮やかフィニッシュ
「わりと長い時間、常に出場させてもらってるんで、信頼度というか期待度もある程度、あると思う。結果で応えていきたかったんですけど、今日はノーゴールなんで、次は結果を出したい。まだまだ伸びしろもあるチーム。ファンとかサポーターも凄いですし、毎試合に懸ける思いっていうか、練習もそうですけど、すごく激しいなかでやってる」

　そう語る町野は、よく日本人FWが欧州で経験する、思ったようにボールが出てこないというストレスも、このキールではあまりないようだ。「まあ最初は多少、ボールが出てこないかなっていうのはあった」というが、試合に出ながら結果も出すことで、状況が良くなっていることは町野も感じている。

「パスが出てこなかったら後で話すようにはしていますし、自分の決定機の場面では、横を使ったら点が入るという場面では、仲間から横を見ておいてっていうのは、今日も言われました。日を重ねるごとに良くなっていくのかなと」
 

　チームではセルビア人ボランチのマルコ・イベジッチと仲が良く、話もするという。町野は「毎回ミーティングはドイツ語で、それを英語で通訳されてるんですけど、両方ほぼできないんで（苦笑）。英語はまだできるんですけど、何回もミーティングを監督としながら、頭にインプットします」と笑いながら語る。

　ドイツ、トルコと対戦する９月シリーズの日本代表メンバーには残念ながら選ばれなかったが、町野は「まだこっちに来て数試合しか経ってないですし、もっともっと結果と実績を積み上げないとダメかなと思います」と冷静に現状を理解している。

　パダーホルン戦では、トレードマークのゴールセレブレーション、“ニンジャポーズ”を出せなかったが「次、決めます（笑）」と町野。現在ドイツの地で奮闘する町野にとっても、大きな目標は2026年の北中米ワールドカップだ。そのためにはドイツ２部というステージで留まっているわけにはいかないが、日出づる国のサムライ、いやニンジャは北ドイツの地で今、着実に成長を続けている。

取材・文●河治良幸

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