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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の五十四「強い集団に不可欠な“人材の多様性”。レイナや森脇のような存在の重要度とは?」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年01月21日

ブラジルW杯の日本代表は一部が“自分たちらしさ”を過信してしまった。

2011年アジアカップの23人枠に食い込んだ森脇(左)は、日本代表のフィールドプレーヤーで唯一出場機会がなかったが、持ち前の明るさと前向きさでチームを支えた。写真:田中研治

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 精神的に極度の緊張を強いられるメジャートーナメントにおいて、“人柄”が集団をもり立てることもある。
 
 日本代表監督時代のアルベルト・ザッケローニも、優勝した2011年アジアカップの登録メンバー23人に森脇良太を入れている。率直に言って、森脇は代表レベルでは技術的にも戦術的にも平凡そのものだったが、いつも明るく賑やかで、集団の浮き沈みに左右されない、前向きなキャラクターを持っている。
 
 日本人選手は根が真面目で規律に縛られてしまい、ネガティブになってしまうこともあるだけに、イタリア人指揮官はそのポジティブさを高く評価したのだろう。
 
 これは一般社会にも通じる集団マネジメントと言える。
 
 ちなみに、2014年ブラジル・ワールドカップでは、日本代表選手たちに自主性が芽生え始めていた。敵を恐れない、アグレッシブな集団になっていたと言える。ところが、一部が“自分たちらしさ”を過信してしまった。残念ながら、ザッケローニ監督は強い統率力を発動できず、集団を束ねられなかったのである。
 
 結局のところ、指揮官のマネジメント力が問われるということか。
 
 たとえ様々なキャラクターがいたとしても、指揮官がそれを束ね、一つの方向に向かって進ませることができなければ、強い集団にはならない。難しいのは、リーダーが勝負に臆して“扱いやすさ”を主眼に選手を選んでしまえば、集団のエネルギーは萎んでしまうということだ。結果、格下相手には互角以上に戦えたとしても、爆発的エネルギーを発生させる格上相手には勝てない。
                              
 そう考えると、やはり選手個々のキャラクターこそが集団を強くするとも言えるのだ。
 
文:小宮良之
 
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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