一方、三笘の課題はどこにあるのか。過密日程となった春頃からパフォーマンスレベルが落ちたと、ノースクロフト記者は指摘する。

「連戦による疲労の影響で、シーズン終盤の４月頃からパフォーマンスが低下した。随所に好プレーを見せてはいたが、動きのキレが落ちた。選手としてもうひとつ上のレベルに行くには、プレーの継続性と安定感を高める必要がある。

　さらに課題を言えば、『決定力の向上』と『パスワーク時の動き』。シーズン中にデ・ゼルビ監督も言及していたが、まずフィニッシュの精度を高めたい。もうひとつは、チームのボール保持時に、よりスムーズにパスワークに絡めるか。三笘は単独突破に秀でているが、チームが攻撃を組み立てる際のパスワークの質も向上できれば、アタッカーとしてもっと良くなる。

　ポイントはよりスムーズに、より効果的に関わっていけるか。これらをクリアすれば、さらにスケール感が増してくるだろう」

　ノースクロフト記者は、２人のアタッカーを参考にしたいと語る。

「プレースタイルこそ違うが、マンチェスター・シティのグリーリッシュと、アーセナルのマルティネッリの歩んだ道を参考にしたい。今シーズン、両選手は非常に良くなった。

　グリーリッシュはペップ・グアルディオラ監督、マルティネッリはミケル・アルテタ監督から指導を受けている。おかげで両選手とも戦術知識が深まり、プレーに幅が生まれた。名将の的確な指導があったからこそ、今季の活躍につながったのだろう。

　三笘にも同じ道を歩んでほしい。重要なのは、優れた監督から指導を受けること。その点、デ・ゼルビ監督は理想的な存在だろう。イタリア人指揮官のもとでもう１年プレーすれば、アタッカーとしてさらに進化できるはずだ」
 

　ノースクロフト記者は「ただし」と付け加える。夏の移籍市場でビッグクラブからオファーを受ける可能性があるとし、以下のように言葉をつないだ。

「もしビッグクラブからオファーを受けたなら、移籍先は優れた指揮官のいるクラブに限定したい。デ・ゼルビ監督と共にブライトンでもう１年プレーするのも良い考えだが、そのイタリア人指揮官も来季終了後にはどこにいるか分からない。新天地に選手育成に長ける指揮官がいるなら、移籍を考えてもいいはずだ。

　１年を通してプレミアリーグで戦ったことで、三笘は１シーズンを乗り切るためのペース配分を掴んだはず。こうした経験は、間違いなく２年目に活きてくる。イングランドでトップクラスの実力は示した。プレミア挑戦２年目は、さらなる進化、そして飛躍に期待したい」

取材・文●田嶋コウスケ

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