選手個人については、上田が15試合目でやっと代表初ゴールを挙げたね。PKとはいえ、さすがに本人も得点後はホッとしたと思う。

　今季はベルギーで得点ランキング２位だし、個人的に浅野、前田、古橋がいるフォワード陣の中でも期待値が非常に高い。今回の試合でもパワーのあるシュートや高さで違いを見せていたし、ジャンプして胸で収めて三笘に預けたポストプレーが得点にもつながった。

　上田は献身性があって、ディフェンスでもさぼらないオールラウンダーのストライカー。ポテンシャルのある選手だからこそ、もっと結果を出せるはずなんだけど、多少時間が必要なのかな。何はともあれ、まず１点取れたのは非常に良かった。

　みんなそれぞれ、良さを出そうとアピールしていた。その中でも特に自分の価値をピッチ上で表現できていたのは久保かな。

　ソシエダで結果を出してチャンピオンズリーグ出場権を勝ち取って、自チームで中心の選手に成長して、その自信がプレーに出ていた。

　１対１の局面で縦に抜けるというのは、フィジカルとスピードの部分でまだ難しいかもしれないけど、ボールを持って散らすとか、中村にアシストしたシーンなど、ボールを簡単に失わず、周りの選手の能力を引き出すプレーは素晴らしかった。
 

　また、サイドから入るボールに対して絶対的にゴール前に顔を出して、シュートを打てるポジショニングを何回もとっていた。その動きはほぼパーフェクトだった。

　こぼれ球に対する立ち位置も含め、最後は自分がシューターとしてフィニッシュするという考え方が見事だったね。活かす側ではなく、最終的に自分が点を取って活きるというポジションをいままで以上に取り続けていたのが良かった。すごく魅力が上がったなという印象だよ。

　そのほかにも、堂安はフィジカルの強さと反転力の速さがあって、シュートまで持っていく力はとても魅力的。旗手もリンクマンとしての能力高さを見せて、初招集の森下も攻守にアグレッシブだったし、相馬は古橋のゴールをクロスでお膳立てしたシーンのように、キックの精度が高く、安定感抜群だった。

　ここから徐々に2026年のワールドカップに向けてサバイバルになっていくけど、ひとり一人がアピールを続けてほしい。次の20日のもう少し強いペルー代表相手には、どんな戦いを見せられるか、楽しみだ。

【著者プロフィール】
金田喜稔（かねだ・のぶとし）／1958年２月16日生まれ、65歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車（現・横浜）でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

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