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Jリーグとはまったくの別物。ACLで体験した国際試合のインパクト【審判員インタビュー|第5回・木村博之】

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2023年06月09日

ACLプレーオフで実感「トップレフェリーは凄い」

昨年プロレフェリーを引退した家本元審判員(左)と飯田国際審判員。両者が担当したACLの試合で経験を積んだ。(C)SOCCER DIGEST

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――レフェリーカレッジに入り、JFL担当、そして全国地域サッカーチャンピオンズリーグを経て、Jリーグ担当審判員とステップアップされていきます。木村さんは、そこまでの過程で経歴を見ると大きな挫折はなかったように感じます。

「苦労がないわけではありませんが、私自身、そこまで早くステップアップしていくと思いませんでした。JFL初年度は、おそらく10試合くらいを担当したと思うのですが、アセスメントレポートもそこまで高い評価ではなかった。なので、翌年にJ2担当審判員になれると思いもせず、一歩ずつ、自分のスキルを上げていくことしか考えていませんでした。

 全国地域サッカーチャンピオンズリーグの割り当てが入ってから、J2担当審判員を初めて意識したくらいです。そういった意味でも、運もあったと思いますし、当時はレフェリー界も世代交代の時期だったので、流れに乗れたのかもしれません」

――以前、お話を伺った時に、2008年J2担当レフェリーとして初めての試合となった水戸ホーリーホック対愛媛FC戦は「珍しく舞い上がっているのが分かった」、また、2011年シーズンの清水エスパルス対横浜F・マリノス戦も「上手くコントロールできていない感があった」と、おっしゃられていました。一方で、ニュースのヘッドラインとなるような試合はなかったように感じます。順当にPRになった印象です。

「どうでしょうか。ただ、PRになった1年目は大変でした。一つひとつの試合で、上手くいかないことが多いと感じていました。もちろん、試合が無茶苦茶になって、メディアに取り上げられるようになることはなかったのですが、もっとこうできたら良い、ではどうすれば良いのかと自問自答を続けていたような時期でした。

 今、振り返れば、自分自身でPRなのだからと、余計なプレッシャーを感じていたのだと思います。そういった意味では、PR1年目の12年の開幕戦、ユアテックスタジアム仙台で行なわれたベガルタ仙台対鹿島アントラーズ戦は忘れられません」
 
――選手はPRかどうか気にしなくても、木村さんご本人が気にしていたのですね。それこそ、些細な展開に関係のないボールアウトのミスでも気にしてしまうような。そういった経験を経て、2014年に国際審判員になります。

「確か、初めて国際審判員としてレフェリーを務めたのは、韓国で行なわれた23歳以下の韓国代表対クウェート代表の国際親善試合だったと思います」

――「確か」ということは、初の国際主審はそこまでインパクトに残っていませんか?

「そうですね。その前に4th(第四の審判員)でACL(アジア・チャンピオンズリーグ)に帯同していた経験が大きいと思います。やはり親善試合よりも、ACLのほうが選手の目の色も違います。色々なインシデントも起こりますし、緊張感というか、ヒリヒリするじゃないですか。

 私の国際審判員として最初の試合は、飯田さんの4thとしてシンガポールに帯同しました。ACLのプレーオフ、東南アジアのクラブ同士の一発勝負の試合で、延長戦まで行なわれた記憶があります。競った展開で、すごく激しいですし、日本では見た事のないような質の試合でした。雰囲気もJリーグとまったく違ったのも印象に残っています。

 ほかにも、家本(政明:元国際主審)さんの4thとして、ACLのプレーオフ、オーストラリアのクラブとベトナムのクラブの試合に帯同したのも覚えています。この2試合が、『これが国際試合なのだ』とインパクトが残った試合です」

――東南アジアのチームだと、Jリーグよりもアバウトに縦にボールを蹴りますし、スライディングタックルも深くチャレンジしたりする。そういったサッカーの質に驚かれたのでしょうか?

「はい。あとは試合の“温度”ですかね。同じ試合でも、急に選手の温度がガラっと変わり、荒れそうになることもあります。そういう要所を、お二方はしっかりと押さえられていたので、『トップレフェリーは凄いな』という感覚を受けました」
 
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