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選手生命を脅かす大怪我から復帰。不屈の兄を尊敬し、奮い立つ法政大2年生FW相澤デイビッドが示した覚悟「一生懸命やらないといけない」

カテゴリ:大学

安藤隆人

2023年05月16日

尊敬する兄にさらなる困難が

高校時代は全国区の選手ではなかったが、ポテンシャルに疑いはない。今後の成長が楽しみな逸材だ。写真:安藤隆人

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 もちろん、筑波大戦の試合展開を考えると、相澤が投入されたのも前線で起点となって、1年生ストライカーの小湊絆、MF中川敦瑛などの攻撃力を引き出して、1点でも多く返すという明確な狙いがあったからこそ、そこは仕方がないことだった。実際に88分には相澤のお膳立てから、小湊が一矢報いるドリブルシュートを決めた。

 その役割はかなりの質の高さを持って披露できることは、この試合でも証明した。だからこそ、もうワンランク上のステージに行くためには、高校時代に見せていたラインブレイクからのフィニッシュで、もっとアピールしていかなければならない。

「絶対にプロになりたいと思っているので、もっとやれることを増やしていきたいと思っています」

 自分を見つめながら、成長を求めて日々を過ごしている相澤には、明確な目標となる存在がいる。6人兄弟の3番目である彼は、2番目の兄、ピーターコアミに影響されてサッカーを始めたという経緯がある。
 
 GKであるピーターコアミは日本文理を卒業後、ジェフユナイテッド千葉に加入。しかし、1年目から怪我に苦しみ、プロ3年目の2021年に一度も出番を得られないまま契約満了が告げられた。

 相澤は「兄でもこんなに苦しむほど、プロの世界は厳しいものなのかと痛感した」と、自分が行きたい世界の現実を目の当たりにする。その一方で、「僕の中で兄はサッカー選手の見本というか、苦しい状況でも前を向ける人間。尊敬していますし、自分が苦しいと思った時に真っ先に相談するし、親身になって聞いてくれる。本当に凄い存在だと思っています」と、自分にとって唯一無二の存在として、苦しみながらも前に進む兄を心から尊敬をしていた。

 だが、その兄にさらなる困難が襲い掛かった。2021年12月のJリーグ合同トライアウトで、ピーターコアミはフィールドプレーヤーと激しく接触し、頭を強打。そのまま病院に救急搬送され、中心性脊髄損傷で全治未定という、選手生命どころか生命にも影響を及ぼすような大怪我を負った。

 これは当時、ニュースになり、多くのサッカーファンがその復帰を願った。身内である相澤は「もう兄を信じるというか、祈るしかありませんでした」と、心の底から兄を思い続けた。
 
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