一方、守備ではアヤックスの迫力あるサイドアタックを受けた。

　前半のマークはオランダ代表の俊足FWベルフワインが相手だったうえ、17歳になったばかりの俊英左SBハトのオーバーラップ、セルビア代表MFタディッチが目まぐるしく菅原を惑わせてきた。

　後半になるとタディッチが左ウイングを務め、MFテイラー、クラーセン、交代出場の左SBワインダルといったオランダ代表勢が菅原のサイドを突いてきた。身振りを交えて仲間を動かしながら菅原は交戦したが、完全に防ぎ切るというのは不可能だった。

「前半は、ベルフワイン選手の仕掛けが右足で、だいたいやることは分かってましたが、後半はタディッチ選手が（左ウイングに）入ってからテイラー選手と関わったり、ワインダル選手が上がってきたり、相当捕まえるのは難しかった。アヤックスがすごく良いポジションをとったので、1対２や1対３の数的不利の状況になることが多かった。そこを一人で守れるようにするのが僕の課題です。

また、その前にポジショニングをコントロールすることも必要。僕自身、１歩２歩前に出たり、もっと右に行ったりして相手に前進させない守備をすることもできたのかなと、いま、試合が終わった直後の感想としてあります。

　やっぱり強力な攻撃陣だったので、手こずりましたね。オランダリーグでトップの相手だったので楽しかったです。そのなかで課題を突きつけられた感じもしますので、しっかり成長につなげたいです」
 

　AZは３位アヤックスと勝点２差の４位。『勝てば逆転』という試合だったが、監督・選手たちの表情やコメントから「アヤックスとのアウェーゲームで、この結果は良し」というポジティブな雰囲気が漂っている。その理由のひとつには、AZの調子が上向きなのに対し、アヤックスが深刻な不振に陥っており、残り３節で何が起こるか分からないという点だ。

　もうひとつの理由が、AZはUEFAカンファレンスリーグという大きなチャレンジに対して前向きに取り組んでいるから。

「まずは木曜日のカンファレンスリーグ準決勝。かなり大きなチャンスが目の前にある。ウェストハムはプレミアリーグでかなりの連戦。いい試合ができると思います。180分をトータルで考えないといけない。２戦目がホームなのは、有利に働くと思う。この前の準々決勝もそう。そのことも考えながら良いサッカーをしたいです」

『この前の準々決勝』とは初戦のアウェーゲームでいいところなく０－２で完敗してから、ホームで２－０と勝って追いつき、PK戦の末に勝ち進んだアンデルレヒト戦のこと。以前、「トロフィーのないサッカー人生は華がない」と語っていた菅原は、タイトル奪取に燃えている。

取材・文●中田 徹

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