フライブルクがシーズンを通してコンスタントにチームとして高い機能性と連動性を見せているのは本当に素晴らしい。シュトライヒがバイエルン戦後に１人の選手へ賛辞を惜しまなかったことを思い出す。その選手はマネエル・グルデ。長年クラブでプレーするベテランCBだが、今季なかなか出場機会を得ることができないでいた。

　ドイツ代表マティアス・ギンター、オーストリア代表リーンハルトがレギュラーを務め、３バックを採用するときもキリアン・シラデッラ、ルーカス・キューブラー、さらにはセカンドチームから昇格したケビン・シュミットが優先される。それでもグルデは不満を口にせず、どんな時でも全力で取り組んでいた。

「彼の立ち振る舞いは、チーム全体にあるべき姿を見せてくれている。彼はいつも最高のトレーニングをしていた。いつもだ。それなのに私は彼を出場させることができないでいた。長い間ベンチに座り続けなければならなかった。そんな彼が私にこう話してくれたんだ。『監督、僕はいつでも100％で準備をするよ。試合に出ても、出なくても。フィードバックが必要な時は話を聞きに来るから』と。ワールドクラスの心構えだ。彼のような選手がチームの今を象徴しているんだ。若手選手にとってこれ以上ない手本だ。そして彼自身、とても成長しているんだよ」
 

　バイエルンとの２連戦ではCBに負傷者が続出したこともありグルデはスタメン出場を果たし、最高レベルの相手に見事な守備を見せていた。リーグでのバイエルン戦で負傷退場してしまったことを、シュトライヒは心から残念がっていた。

「非常に鋭いプレーを見せてくれていた。バイエルンのようなトップチーム相手に、認知判断が極めて速く、適切だった。試合の中にうまく入り込んでいるという印象を受けていた。それだけにこの試合でけがをしたのが残念でならない」

　主力選手だけではなく、所属する選手全員を成長へと導く指揮官。だから選手はこのクラブを選ぶのだろう。シュトライヒが地元記者にこんなことを話していたのを思い出す。

「素晴らしい選手とともに仕事ができていることを本当に喜ばしく思っている。でも、素晴らしい選手たちは素晴らしいままでいてほしいではないか。そのための取り組みをしたいではないか」

　シュトライヒはそういって優しく笑い、僕ら記者陣は黙って何度もうなづいた。

取材・文●中野吉之伴

【PHOTO】日本代表を応援する麗しき「美女サポーター」たちを一挙紹介！

【PHOTO】ワールドクラスの美女サポーターずらり！ スタジアムを華やかに彩る麗しきファン厳選ショット！