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現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「マッリ、そして武藤が…。マインツの人々が抱く“怖れ”」

カテゴリ:連載・コラム

ラインハルト・レーベルク

2015年12月10日

成功の後に待ち受ける良質なサッカーとの別れ。

2人あわせて15得点・5アシストを記録している武藤(左)とマッリを引き抜かれれば、チームの質が落ちるのは間違いない。 (C) Getty Images

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 監督は何と言っているか?

「私たちは常に、降格圏から十分な距離を保っていなければならない」

 スイスのヴァリス出身のマルティン・シュミットのそうした現実主義的な考えは、マインツの街でポジティブに受け止められている。

 何より評価されているのは、フランクフルトに勝点9差をつけている点だ。同じライン・マイン地方に本拠地を置くこのライバルは、ずっと手の届かない存在だった。

 フランクフルトが73-74シーズンにDFB杯で初優勝した時、マインツはまだ3部で、ライバルが90年代にトップリーグで覇権を争っていた時には2部にいた。

 ちなみに、隣町の“ユリ”(ダルムシュタットの愛称)に勝点5差をつけているのは、マインツの人々にとって必ずしも喜ばしいことではない。ダルムシュタットのGKコーチは元マインツ主将のディモ・ヴァッヘで、正GKのクリスティアン・マテニアはマインツ出身。そうした事情から、隣町のライバルといえど、マインツ人はダルムシュタットの苦戦を望んでいないのだ。

 マインツが過去に15節終了時点で7位より上にいたのは、10-11シーズンの一度だけ。トーマス・トゥヘル(現ドルトムント監督)率いるチームは開幕7連勝を飾り、15節を終えて勝点30で2位につけていた。この時は最終的に勝点58の5位でシーズンを終え、EL出場権を獲得している。

 数シーズンに一度くらいは、そうした好成績を残すことは可能だろう。ただ、マインツのファンは知っている。チームが成功を収めた後には、良質なサッカーに別れを告げなければならないと――。

 なぜなら主力選手たちがビッグクラブの目に留まり、引き抜かれてしまうからだ。例えばユヌス・マッリや武藤のような選手が、である。

文:ラインハルト・レーベルク
翻訳:円賀貴子

【著者プロフィール】
Reinhard REHBERG(ラインハルト・レーベルク)/『ライン新聞』で1987年から27年にわたってマインツの番記者を務める。現在はフリーで、「マインツァー・アルゲマイネ新聞」のコラムニストを務める一方、監督業を志す指導者に向けたコーチングも行なっている。マインツ出身、57年7月30日生まれ。
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