【ブンデス現地コラム】本格開花の予感を漂わせる“バラック2世”

カテゴリ:ワールド

中野吉之伴

2015年11月26日

華麗さだけでなく、身を投げ出して戦う闘争心も併せ持つ。

ドイツU-21代表で主将を務めるゴレツカは、すでにA代表も経験。好調を維持すれば、EURO出場も夢ではない。(C)Getty Images

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 ゴレツカの特徴を一言で表わすとしたら、「繊細かつ大胆」。サッカーセンスや基本技術の高さは折り紙付きで、長短のパスを巧みに使い分けて観る者を魅了する。そうした華麗さだけでなく、どんな状況でも走り続け、身体を投げ出して戦う闘争心も併せ持つ。
 
 シャルケ・サポーターが選手に求めるのは、ファイティングスピリットだ。だからこそ、彼らはユニホームを汚しながらピッチを駆け回るゴレツカに大きな声援を送る。いずれは、今夏にヴォルフスブルクに移籍したユリアン・ドラクスラーのような、クラブの未来を担うシンボルとなっても不思議はない。
 
 ここまで0ゴール・2アシストと得点に絡むプレーこそ少ないものの、首脳陣の評価は高い。チームトップの走行距離(11.59km)を記録した4節のマインツ戦(9月13日)では、「レオンは特別な賛辞を受けるに値するプレーを見せた」とスポーツディレクターのホルスト・ヘルトを唸らせた。
 
 バイエルンのジュゼップ・グアルディオラ監督も、その才能に惚れ込むひとりだ。「ゴレツカ、マイヤー、ザネは素晴らしいタレントだ。ドイツ・サッカーの未来そのものと言っていい」と手放しの賛辞を送っている。
 
 さらなるスケールアップを果たすために、求められるのは判断力の向上だ。13節のバイエルン戦(11月21日)では、自らドリブルで長距離を駆け上がり、カウンターアタックの先陣を切る場面があった。完全に数的優位な状況で、右サイドにはザネがフリーで走り込んでいた。しかし、ゴレツカは強引にシュートを選択。千載一遇のチャンスをフイにしてしまった。
 
「あの場面はパスを選択するべきだった。そうすれば、間違いなく決定機になっていたはずだからね。チームメイトが怒るのも当然だ」
 
 1-3で敗れた試合後、ゴレツカは反省しきりだった。こうした自らを省みる殊勝さも、この若武者は持ち合わせている。自らの才能に奢る心配はほぼ皆無で、着実な成長が思い描ける。
 
 特大のポテンシャルを秘めた“バラック2世”が完全開花すれば、チャンピオンズ・リーグ出場権を狙うシャルケにとって、これ以上ない武器になるはずだ。
 
文:中野吉之伴
 
【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
 
 
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