背中を押してくれた2人の恩師の存在
「広島大に進んだらプロに行けなくなるかもしれない」
そう思い、悩んでいた香取の背中を押したのは、広島ユースの高田哲也監督(今年から大分トリニータU-18監督)だった。
「仮に関東や関西に行っても、上がっていく選手は上がっていくし、落ちていく選手は落ちていく。結局は自分次第。広島大学で頑張れば、デンソーカップチャレンジやインカレでチャンスはあると思うぞ」
この言葉に香取はハッとさせられた。環境を言い訳にしている時点で、厳しいプロの世界に進めるはずがない。
同時に広島大の上泉監督からは「主軸のボランチが卒業してしまうから、1年からボランチをやって欲しい。中心になって欲しい」と言われていた香取は、「僕はサイドバックがやりたいんです」と高田監督に伝えると、「一度、中盤を経験しておくこともいいと思うぞ。それに欲しがってくれている場所でやるのが一番だ」と言われ、「心機一転で頑張ろう」と覚悟を決めた。
推薦入試では英語と、「コロナ禍における楽しい体育の作り方」というテーマでプレゼンテーションを行ない、見事に合格を手にした。体育の教員免許を取るべく勉強を重ねる一方で、サッカーではボランチとして頭の回転の速さと高い戦術理解度、技術を生かしてすぐにチームの中軸となった。
そう思い、悩んでいた香取の背中を押したのは、広島ユースの高田哲也監督(今年から大分トリニータU-18監督)だった。
「仮に関東や関西に行っても、上がっていく選手は上がっていくし、落ちていく選手は落ちていく。結局は自分次第。広島大学で頑張れば、デンソーカップチャレンジやインカレでチャンスはあると思うぞ」
この言葉に香取はハッとさせられた。環境を言い訳にしている時点で、厳しいプロの世界に進めるはずがない。
同時に広島大の上泉監督からは「主軸のボランチが卒業してしまうから、1年からボランチをやって欲しい。中心になって欲しい」と言われていた香取は、「僕はサイドバックがやりたいんです」と高田監督に伝えると、「一度、中盤を経験しておくこともいいと思うぞ。それに欲しがってくれている場所でやるのが一番だ」と言われ、「心機一転で頑張ろう」と覚悟を決めた。
推薦入試では英語と、「コロナ禍における楽しい体育の作り方」というテーマでプレゼンテーションを行ない、見事に合格を手にした。体育の教員免許を取るべく勉強を重ねる一方で、サッカーではボランチとして頭の回転の速さと高い戦術理解度、技術を生かしてすぐにチームの中軸となった。
そして、高田監督の言葉通り、1年生で中国選抜としてデンソーカップチャレンジプレーオフに出場。チームは本戦に進めなかったが、プレーオフ選抜に選ばれ、冒頭の活躍で3位躍進に大貢献をした。
「本当に高田監督、上泉監督には感謝しかありません」
2人の恩師への感謝の気持ちを胸に、香取はこの大会で大きなアピールができた。さらに、憧れていた中村憲剛からの教えも受けられた。
「憲剛さんは一つひとつの技術や要求がすごく高いので、普段できない経験ができていると思います。ちょっとでも前を向ける隙間があったらターンしろと言われているし、僕的には『厳しい』と思ってバックパスをする場面も、『そこ前向けるよ、もっと前を見ろよ』と声をかけてくださり、ハッとさせられることが多かった。ずっとテレビで見てきて、憧れの気持ちが強い人に自分が実際に教えてもらえているという事実と、関東選抜Aなどにも勝つことができた事実が、これまで憧れだったものが少しずつ目標に変わってきている実感に変えてくれました」
心の中に燃え上がるものを感じた。まだまだこんなものではダメだという危機感と、確実に見えた希望の光が、香取をより前に突き動かしていく原動力となる。
「2人目のJリーガーになりたいし、きちんと教員免許も取りたい。より意識を持ってこれからサッカーと勉強に向き合っていきたい」
一歩ずつ着実に。堅実な国立大生の野望に満ちた人生をこれからも注目していきたい。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)
「本当に高田監督、上泉監督には感謝しかありません」
2人の恩師への感謝の気持ちを胸に、香取はこの大会で大きなアピールができた。さらに、憧れていた中村憲剛からの教えも受けられた。
「憲剛さんは一つひとつの技術や要求がすごく高いので、普段できない経験ができていると思います。ちょっとでも前を向ける隙間があったらターンしろと言われているし、僕的には『厳しい』と思ってバックパスをする場面も、『そこ前向けるよ、もっと前を見ろよ』と声をかけてくださり、ハッとさせられることが多かった。ずっとテレビで見てきて、憧れの気持ちが強い人に自分が実際に教えてもらえているという事実と、関東選抜Aなどにも勝つことができた事実が、これまで憧れだったものが少しずつ目標に変わってきている実感に変えてくれました」
心の中に燃え上がるものを感じた。まだまだこんなものではダメだという危機感と、確実に見えた希望の光が、香取をより前に突き動かしていく原動力となる。
「2人目のJリーガーになりたいし、きちんと教員免許も取りたい。より意識を持ってこれからサッカーと勉強に向き合っていきたい」
一歩ずつ着実に。堅実な国立大生の野望に満ちた人生をこれからも注目していきたい。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
【PHOTO】日本代表の歴代ユニホームを厳選写真で振り返り!(1992-2022)