カウンター戦術で物を言うパスセンスと突進力。
俊英は、期待を裏切らなかった。
たしかにフランス戦の「スター」を一人選ぶなら、代表戦初先発にして2得点に絡んだデレ・アリになる。3センターで並んだバークリーの輝きは、アリほど強烈ではなかった。
だが、地味だからこそ逆に評価できる部分もあった。独力で局面を打破する能力は、それこそユース時代から証明済み。チームとしては力負けしたスペイン戦においても、トップ下に入ったバークリーの軽快な足捌きは見劣りしなかった。
キープとターンから30㍍弱を独走した前半のワンシーンを見れば、「新ガスコイン」の異名にも改めて頷ける。強国との対戦でベースになりそうなカウンター戦術では、バークリーのパスセンスと突進力が物を言う。
課題は個人技の使い所や攻守のバランスを取らなければならない局面での判断力だが、フランス戦のピッチには中盤のハブとして円滑に働くバークリーの姿があった。
アリの攻め上がりが光ったのも、後方と前線を巧みに繋ぐ相棒が中盤中央にいたからこそ。65分には、ボランチのエリック・ダイアーをかわしたキングスリー・コマンとの距離を咄嗟に詰めて、危機を未然に防いでもいる。
バークリーはチームの潤滑油兼カウンターの着火剤となれる存在だ。「一朝一夕の成長など期待してはいけない」と言ってきたホジソンも、こう思ったに違いない。「ついに」と。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
たしかにフランス戦の「スター」を一人選ぶなら、代表戦初先発にして2得点に絡んだデレ・アリになる。3センターで並んだバークリーの輝きは、アリほど強烈ではなかった。
だが、地味だからこそ逆に評価できる部分もあった。独力で局面を打破する能力は、それこそユース時代から証明済み。チームとしては力負けしたスペイン戦においても、トップ下に入ったバークリーの軽快な足捌きは見劣りしなかった。
キープとターンから30㍍弱を独走した前半のワンシーンを見れば、「新ガスコイン」の異名にも改めて頷ける。強国との対戦でベースになりそうなカウンター戦術では、バークリーのパスセンスと突進力が物を言う。
課題は個人技の使い所や攻守のバランスを取らなければならない局面での判断力だが、フランス戦のピッチには中盤のハブとして円滑に働くバークリーの姿があった。
アリの攻め上がりが光ったのも、後方と前線を巧みに繋ぐ相棒が中盤中央にいたからこそ。65分には、ボランチのエリック・ダイアーをかわしたキングスリー・コマンとの距離を咄嗟に詰めて、危機を未然に防いでもいる。
バークリーはチームの潤滑油兼カウンターの着火剤となれる存在だ。「一朝一夕の成長など期待してはいけない」と言ってきたホジソンも、こう思ったに違いない。「ついに」と。
文:山中忍
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。