「どんな選手になりたい?」は「どんな人になりたい?」
とはいえ、サッカーと縁を切るつもりはなく、指導者にも興味はある。磯村は16年の名古屋での残留争いの際に、監督という職業の凄みを思い知った選手の1人である。15戦未勝利など苦しみ抜いたチームを豹変させたのは、かつてストイコビッチ監督の参謀として、そして京都でも指揮を執った経験のあるボスコ・ジュロブスキー監督だった。
「あれだけバラバラだったチームをあそこまで変えた。試合をやるのは選手ってよく言いますけど、いや監督だろって思っちゃうところが僕にはあります」
ただ、それを目ざすのは今ではない。サッカー以外の社会を知り、人間としての深みや幅を拡げてからでも遅くないと磯村は言う。では、差し当たっての人生設計は?
「いろいろな人に相談しているんですけど、アカデミーの大先輩に富岡英聖君という人がいるんです。今はテレビ局で働いている人で、引退後のことを相談した時に、『小さい頃、どんな選手になりたかった?』と聞かれたんですね。
そう考えた時、僕はドリブルばっかり、パスばっかりではなく、何でもできる選手になりたかったなと思いました。すると『それは“どんな人になりたかったか”と類似するところがある。お前はいろいろなことができる人間になりたかったんじゃないのかな』と言われて。すごく腑に落ちたんです。自分はサッカー以外の道にも興味があるんだと」
尊敬する先輩の導きに従い、そして富岡さんのように人に寄り添える社会人になりたいと、今の磯村はセカンドキャリアを支援するような業種への興味を強めている。サッカー界を外から見つめ、かつ寄り添う。具体的な方向性が見えてくれば、現役当時と同様に磯村の心は躍り出す。
「あれだけバラバラだったチームをあそこまで変えた。試合をやるのは選手ってよく言いますけど、いや監督だろって思っちゃうところが僕にはあります」
ただ、それを目ざすのは今ではない。サッカー以外の社会を知り、人間としての深みや幅を拡げてからでも遅くないと磯村は言う。では、差し当たっての人生設計は?
「いろいろな人に相談しているんですけど、アカデミーの大先輩に富岡英聖君という人がいるんです。今はテレビ局で働いている人で、引退後のことを相談した時に、『小さい頃、どんな選手になりたかった?』と聞かれたんですね。
そう考えた時、僕はドリブルばっかり、パスばっかりではなく、何でもできる選手になりたかったなと思いました。すると『それは“どんな人になりたかったか”と類似するところがある。お前はいろいろなことができる人間になりたかったんじゃないのかな』と言われて。すごく腑に落ちたんです。自分はサッカー以外の道にも興味があるんだと」
尊敬する先輩の導きに従い、そして富岡さんのように人に寄り添える社会人になりたいと、今の磯村はセカンドキャリアを支援するような業種への興味を強めている。サッカー界を外から見つめ、かつ寄り添う。具体的な方向性が見えてくれば、現役当時と同様に磯村の心は躍り出す。
新人時代、当時のストイコビッチ監督は居残り練習を禁じ、シーズン中のトレーニングは主力にしか十分な活動量が保証されないような環境だったが、練習場の敷地内で隠れて坂道ダッシュをしたり、見つからないような場所にある公園で仲間とボールを蹴って必死に食らいついた。
練習試合で大学生に吹っ飛ばされるくらいにフィジカルは細かったが、まずは朝食をしっかり摂ることから改善に乗り出し、対人能力に自信を持てるほどにたくましい肉体も手に入れた。
「違う思考を持った監督とは面白いサッカーができたと思う」という点も、磯村自身のセカンドキャリアの追い風になる。名古屋で風間監督に、新潟で呂比須ワグナー監督に、長崎では高木琢也監督に、自分の既成概念を壊すスタイルを見て、彼は嬉々としてピッチに向かった。
新たな世界、つまり違う世界を見ようとする現状も、根本としては同じ状況だと言えるだろう。だから彼は笑顔で語る。「本当に、いろいろなことを考えたい。それをサッカー界に還元できたら一番良いと思う」。
プロサッカーには目標がなくなった、しかし次の目標は定まりつつある。魂のこもったプレーを見せてくれた現役当時と同様に、磯村亮太は今後も全身全霊の“プレー”を続けていく。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列
練習試合で大学生に吹っ飛ばされるくらいにフィジカルは細かったが、まずは朝食をしっかり摂ることから改善に乗り出し、対人能力に自信を持てるほどにたくましい肉体も手に入れた。
「違う思考を持った監督とは面白いサッカーができたと思う」という点も、磯村自身のセカンドキャリアの追い風になる。名古屋で風間監督に、新潟で呂比須ワグナー監督に、長崎では高木琢也監督に、自分の既成概念を壊すスタイルを見て、彼は嬉々としてピッチに向かった。
新たな世界、つまり違う世界を見ようとする現状も、根本としては同じ状況だと言えるだろう。だから彼は笑顔で語る。「本当に、いろいろなことを考えたい。それをサッカー界に還元できたら一番良いと思う」。
プロサッカーには目標がなくなった、しかし次の目標は定まりつつある。魂のこもったプレーを見せてくれた現役当時と同様に、磯村亮太は今後も全身全霊の“プレー”を続けていく。
取材・文●今井雄一朗(フリーライター)
【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列