【現地コラム】スポットライトと無縁な「リーガ最高のパサー」

カテゴリ:連載・コラム

豊福晋

2015年11月13日

ふと、ガンバ大阪の7番が思い浮かんだ。

今シーズンはリーガ2位のボール奪取数を誇るなど、トラショーラスは守備力にも定評。実に完成度の高いMFだ。(C)REUTERS/AFLO

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 バルサの下部組織出身で、リーガ・デビューは2001年のカルロス・レシャック時代。パスサッカーの血が脈々と流れている。
 
 イニエスタやモドリッチなどと違い、トラショーラスは目立たない。数人のDFの間を1本で切り裂く派手なスルーパスは稀で、どちらかと言えばパスでリズムを作るタイプだ。
 
 ラージョのパコ・ヘメス監督が彼に心酔する理由は、パス成功率の高さだけではない。攻撃をアレンジしながら、守備での貢献度も高いのだ。今シーズンのボール奪取数は、リーガ2位を誇っている。
 
 残留が目標クラブにして珍しくバルサ並みのパスサッカーを目指す、志の高い監督にも恵まれた。ラージョでパコ・へメスと出会わなければ、トラショーラスがここまでのパサーに成長できた保証はない。本人はこう語る。
 
「ラージョのサッカーに誇りを持っている。このスタイルで僕らはずっと結果を残してきたからね」
 
 ラージョとの現行契約はあと1年半。「まだまだ辞めるな」、「延長してくれ」と願う声は多い。
 
 リーグで誰よりもパスを通し、意外にも守れるMFはしかし、34歳という年齢もあり、A代表とは縁がない。
 
 ふと、遠く極東のJリーグでパスを紡ぐガンバ大阪の7番が思い浮かんだ。
 
 陽の目を浴びずとも、代表のユニホームを着ずとも、人々の心を掴む選手が世界にはたくさんいるのだ。
 
文:豊福晋
 
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
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