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【消えた逸材】「敬意のかけらもない」「酷く不愉快だ」会長と監督を激怒させた事件でキャリアが暗転…06年W杯の仏代表にサプライズ招集されたDFの「最大の後悔」

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2023年01月07日

「あんなことをしなければマンチェスターに…」

13ー14シーズン、カーライル時代のシムボンダ。(C)REUTERS/AFLO

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 ただ、時系列で言えばその少し前に、キャリアを暗転させる重大な間違いを犯していた。ウィガンでのシーズン最終戦を終えた直後だった。試合後のロッカールームで、ポール・ジュエル監督に移籍志願の書簡を突きつけたのだ。

 本人はそこまで深刻に考えてはいなかった。しかし、されたほうにしてみれば、あまりに非礼な振る舞いだ。「敬意のかけらもない」とジュエルが憤慨すれば、デイブ・ウィーラン会長も「酷く不愉快だ」と怒りを露わにし、ウィガンとの関係は一瞬にして破綻した。
 
 キャリアを通じて「最大の後悔」と本人も省みる過ちだった。ウェブメディア『ジ・アスレティック』で告白した。
 
「ウィガンは怒り心頭で、話すらできなくなってしまった。本当に馬鹿なことをしたと思う。後悔している。できることなら、あの場に戻ってやり直したいくらいだ」
 
 この件が致命的だったのは、信義にもとる男だとのレッテルが貼られてしまったことだ。そのために破談になったのが、マンチェスター・ユナイテッドへの移籍だったと本人は打ち明ける。
 
「あんなことをしなければ、マンチェスターに行っていたはずだ。チャンスを台無しにしてしまった」
 
 結局、トッテナム・ホットスパーに移籍し、2年目の07-08シーズンにリーグカップ優勝に貢献した。しかし、実績らしい実績はこれくらいで、フランス代表からも声はかからなくなり、キャリアは先細りになっていった。
 
 現在は、マンチェスターに設立したアカデミーを運営しながら、セミプロでのプレーを続けている。直近では、20年にダラム・シティというクラブでイングランド10部リーグを戦った。
 
 自身のイニシャルと愛着ある現役時代の背番号から『PC39』と名付けたアカデミーは、いわゆる育成機関ではない。各クラブのユースアカデミーを卒業してプロになれなかった19歳以上の選手たちが対象で、フットボールだけでなく第二の人生のための教育プログラムも提供している。グアドループという辺境の出身で苦労した経験から、後進の力になりたいという。
 
文●松野敏史
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2022年12月15日号より転載
 
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