18歳の超逸材、神村学園FW福田師王。小柄で無名だった元DFがドイツ挑戦を叶えるまでの軌跡

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2022年12月21日

怪我に悩まされ、万全な状態でプレーできない日々

エアバトルでは無類の強さを発揮。試行錯誤しながら、高校年代最強のストライカーへと成長した。写真:松尾祐希

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 際立つ活躍を見せられたのも、経験を積んで自信を深めたからなのだが、重要だったのは身体ができ上がったことだ。中学時代は華奢で高校入学時点の体重は54キロ。身長も175センチに満たないぐらいで、今の身体つきからはまるで考えられないほど細かった。

 だが、国体での活躍や代表活動を通じて、プロサッカー選手になる夢を現実的な目標として捉えると、意識が変わって食生活を見直す。母親に協力してもらい、タンパク質を中心にバランスの良い食事を心がけ、量や1日の食事回数も増やした。

 その結果、3年間で体重は16キロ増加。身長も伸びて身体が大人になり、高校年代では誰も止められないパワーが備わった。スピードの面でも、昨季にU-16日本代表の森山佳郎監督からお尻周りの筋肉を強化するように助言を受け、徹底して鍛えたことで相手を圧倒できるように。その結果、ジャンプ力も増し、空中戦では無類の強さを発揮するようになったのも2年生の頃だった。

 そうした地道な積み重ねは技術面でも変わらず、練習後には黙々とシュートを打ち続けて精度を磨いてきた。昨季は武器を増やそうとし過ぎたがゆえに自分の良さを見失い、もがいた時期もあったが、ストイックに自分と向き合う姿勢は変えず、迷ったら立ち止まって整理する作業に没頭。過去の映像を見たり、スタッフに意見を求め、試行錯誤しながら“絶対的なストライカー”になるための階段を登ってきた。
 
 迎えた今季は海外挑戦を視野に入れ、ボルシアMGのトレーニングに春と夏に参加。複数のJクラブからも興味を示され、国内外を巻き込んだ争奪戦が起こり、“福田師王”の行き先に注目が集まっていた。

 だが、そうした注目度とは裏腹に、今季の福田は誰よりも苦しんでいたのは、あまり知られていない。欧州への渡航や代表活動に加え、Jクラブへの練習にも参加し、多忙な日々を送っていた影響でコンディションが整わなかったのだ。怪我に悩まされ、万全な状態でプレーできない日々が続いた。

 夏のインターハイも満身創痍の状況だった。チームも新型コロナウイルスの影響で大会直前まで全体練習ができず、不完全燃焼のまま初戦となった2回戦で履正社に0-2で敗北。試合後、唇を噛んだ福田は震える声で何度も「自分の責任」と言い続け、ゴールを決められなかった自らを責めた。だが、他責にはしない。自分に矢印を向けて選手権での巻き返しを誓った。

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