アクセントを生み出す選手交代で流れを引き寄せ、あの「衝撃弾」へ。
これらのストロングポイントが前面に出たのが、岡山県予選決勝だった。J1浦和入団内定のMF伊藤涼太郎を軸に、タレントが揃っていた作陽に対し、柔軟な戦術的対応を見せたのだった。
世間ではあまりにも劇的な展開と強烈すぎる2ゴールにばかり注目が集まっているが、それにはしっかりと『伏線』があった。
(※強烈すぎる2ゴール=0-1で迎えた後半アディショナルタイム1分に、新地のロングスローを、ゴール前で作陽DFがクリアしたこぼれに反応した塩田晃がダイレクトでクロス。これをゴール前で待ち構えた片山が、ダイレクトでジャンピングボレーシュートを突き刺す。
延長後半アディショナルタイム3分、GK栗尾純平のゴールキックから、ヘッドでつないだボールを、新地がさらにヘッドでバイタルエリアの土居につなぐ。これを土居はDFを背負いながら胸トラップをすると、右足で浮かせてDFの頭上を越え、反転からノーバウンドで右足ループシュート。鮮やかな弧を描いたボールは、ゴール左隅に吸い込まれた)
早々にリードを奪われる展開に、乙倉健二監督はすぐさま動き、28分に左ワイドの片辺に代えて、緑川を投入すると、ハーフタイムには右ワイドの西崎に代えて、片山を投入し、前線をスタートの2トップが縦関係になる4-4-2から、伝統的なサイドアタックを促進する3トップ気味に切り替え、前への推進力を強めた。
これにより、徐々にサイドでイニシアチブを握れるようになると、56分にはトップ下の桑田に代えて新地を投入し、ロングスローと縦への突破というアクセントを加え、さらに71分に緑川に代えて薮井を投入。両ワイドにスピードアタッカーを配置し、攻撃のギアを一段階上げた。
さらにこの時、CBの西中を1トップに上げ、片山と土居を2シャドーに、岩本をアンカーにして、フィード力もある塩田奨をCBに下げ、バランスを整えている。
これらのギアチェンジが功を奏し、試合のペース自体も握り出した結果、あのふたつのスーパーゴールが生まれた。全国だけでなく、世界にまで大きな衝撃(※土居のゴールは欧州の複数のメディアで称賛を受けている)を与えた劇的な逆転劇の裏側には、「選手交代をするごとに、アクセント、アクセント、アクセントという形で流れを引き込む狙いだった」と語る、乙倉監督の綿密なゲームプランと、チームの戦術的な柔軟性があった。
選手権ではこの柔軟性をどこまで発揮できるかが大きなポイントとなる。伝統的なスピードアタックと、そのアレンジを武器に、2年ぶりの選手権で前回の全国ベスト16を越える結果を狙う。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
世間ではあまりにも劇的な展開と強烈すぎる2ゴールにばかり注目が集まっているが、それにはしっかりと『伏線』があった。
(※強烈すぎる2ゴール=0-1で迎えた後半アディショナルタイム1分に、新地のロングスローを、ゴール前で作陽DFがクリアしたこぼれに反応した塩田晃がダイレクトでクロス。これをゴール前で待ち構えた片山が、ダイレクトでジャンピングボレーシュートを突き刺す。
延長後半アディショナルタイム3分、GK栗尾純平のゴールキックから、ヘッドでつないだボールを、新地がさらにヘッドでバイタルエリアの土居につなぐ。これを土居はDFを背負いながら胸トラップをすると、右足で浮かせてDFの頭上を越え、反転からノーバウンドで右足ループシュート。鮮やかな弧を描いたボールは、ゴール左隅に吸い込まれた)
早々にリードを奪われる展開に、乙倉健二監督はすぐさま動き、28分に左ワイドの片辺に代えて、緑川を投入すると、ハーフタイムには右ワイドの西崎に代えて、片山を投入し、前線をスタートの2トップが縦関係になる4-4-2から、伝統的なサイドアタックを促進する3トップ気味に切り替え、前への推進力を強めた。
これにより、徐々にサイドでイニシアチブを握れるようになると、56分にはトップ下の桑田に代えて新地を投入し、ロングスローと縦への突破というアクセントを加え、さらに71分に緑川に代えて薮井を投入。両ワイドにスピードアタッカーを配置し、攻撃のギアを一段階上げた。
さらにこの時、CBの西中を1トップに上げ、片山と土居を2シャドーに、岩本をアンカーにして、フィード力もある塩田奨をCBに下げ、バランスを整えている。
これらのギアチェンジが功を奏し、試合のペース自体も握り出した結果、あのふたつのスーパーゴールが生まれた。全国だけでなく、世界にまで大きな衝撃(※土居のゴールは欧州の複数のメディアで称賛を受けている)を与えた劇的な逆転劇の裏側には、「選手交代をするごとに、アクセント、アクセント、アクセントという形で流れを引き込む狙いだった」と語る、乙倉監督の綿密なゲームプランと、チームの戦術的な柔軟性があった。
選手権ではこの柔軟性をどこまで発揮できるかが大きなポイントとなる。伝統的なスピードアタックと、そのアレンジを武器に、2年ぶりの選手権で前回の全国ベスト16を越える結果を狙う。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)