【CLポイント解説】不測の事態が生んだ「地味な主役」

カテゴリ:メガクラブ

豊福晋

2015年11月04日

もっとも地味な選手が決めた、もっとも価値のあるゴール。

35分に試合を決めるゴールを沈めたナチョ。マドリーでもっとも地味なDFが、ビッグゲームで大仕事をやってのけた。(C)Getty Images

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■ポイント2
不測の事態が両チームにもたらしたプラス
 
 両チームにとって攻撃の組み立ての局面で鍵を握る2人が、序盤で負傷退場する。ヴェッラッティとマルセロだ。しかしこの想定外の事態に、交代で入ったそれぞれの選手が素晴らしい活躍を見せた。
 
 ヴェッラッティの代役ラビオは、中盤で軽快にパスを繋ぎ、惜しいシュートも放つなど難なくリズムに乗る。
 
 中盤中央のエリアでパリSGがモドリッチ、クロース、カゼミーロの3人を凌駕できたのは、ヴェッラッティの穴を十分に埋めたラビオットの貢献が大きい。
 
 T・モッタのシンプルなパスゲームはリズムを作り、右ウイングのディ・マリアは右から中央に流れ、R・マドリー時代のようなインサイドハーフ的なプレーで中盤をサポート。サイドバックも積極的に攻撃参加し、ピッチ幅を広く使った攻撃を見せた。
 
 パリSGの完成度は非常に高かっただけに、敗戦には納得がいかないはず。
 
 ただ、カバーニらが手にした、決めるべきチャンスをモノにできなかったことも事実だ。
 
 
■ポイント3
ナチョの不思議
 
 試合を決めたのは、マルセロに代わって入ったマドリーのナチョだ。
 
 マルセロはロナウドと並び、現マドリーで唯一、純粋な交代要員がいない選手。ナチョは右利きで、左サイドに置かれる不安もあった。
 
 しかし、たったひとつのプレーで勝点3を呼び寄せている。
 
 35分、クロースの中央からのシュートがT・シウバに当たって高く上がったところを、左サイドを疾走しシュート。中途半端な飛び出しをした敵GKトラップと入れ替わるかのようにゴールに吸い込まれていった。
 
 スター軍団マドリーの中で、いかにも地味なナチョが注目を浴びることはない。しかし不測の事態が重なり、この日の主役の座が転がり込んだ。 
 
 勝利と、決勝トーナメント進出を呼び込んだ貴重な1ゴール。もっとも地味な選手が決めた、もっとも価値のあるゴールだった。
 
文:豊福晋
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