退場者が出た後は４―３―２の右MFを務めた。ベンチから授けられた指示は３つ。

「MFになれ」「ウイングみたいな役割もしろ」「ディフェンスもやれ」

　だから、ひたすら走り回った。

「各ポジションで求められることを全部やった感じでした。とにかく何が効果的なプレーなのか考えながらやったので、頭がもういっぱいいっぱい。AZでミッドフィルダーをやったことが１、2回ありましたが、やっぱり10人になったチームでやるのは違った。

　ともかく走りまくりました。みんなが走ってました。フォワードの選手は相手を追いかけていたし、ミッドフィルダーは守備のカバーをしてから前へ出ていった。本当に魂を感じた試合でした」

　１ー２で敗れた前節のエクセルシオール戦でスタメンから外れたのは、敵地のスタジアムが人工芝だったから。６月、膝の手術をした菅原のことをチームが考慮したから。しかし、チームがピリッとせず２失点を喫したことから、パスカル・ヤンセン監督は早くも39分に22歳の“アタッカー”の投入を決断する。その期待に応え、48分にチームのムードを高めるゴールを決めた。
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「今シーズン、右ウイングとして公式戦で３ゴール・３アシスト記録している。監督からは『ウイングで使っても数字を残してくれるから、信頼して使える』『攻撃でも守備でも、チームが求めていること以上のものを出してくれている』と伝えてもらえました。感謝しています」

　カタール・ワールドカップのメンバー発表は11月１日に予定されている。

「６月、チャンスを貰いました。そこで活躍できれば、もっとワールドカップへの道が近づいたかもしれませんが、膝の手術をすることを決め、監督も尊重してくれました。そこで無理をしたら半年間、棒にふることになったかもしれません。今は上手く回復の段階を踏んで、怪我していたことをまったく感じさせないようなプレーができてます。やれることはやったと思います」
　
　そう、きっぱりと言った。

「代表に関して、選手は『俺を選んでくれ』というのを（口に出すのではなく）プレーで見せるべき。選手はピッチの上で結果を残すだけ。監督が100人いたら100通りの評価があるわけなんで、AZという素晴らしいクラブでやっている自分を信じて、あとは待つだけ。

　人事を尽くして天命を待つ――です。日本代表、ワールドカップはもちろん大事ですが、１番大事なことはチームの置かれている状況の中でベストを尽くし、良い選手になるために毎日ハードワークすること。どうなろうと後悔はないです」

取材・文●中田 徹

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