「意識は変わってきている」池田太監督が先導する、なでしこジャパン復権への道のり

カテゴリ:女子サッカー

渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

2022年10月19日

「日本でそれがないから成長できないというわけではない」

ナイジェリア戦で先発した猶本。18歳の藤野と交代しピッチを後にするが、先制点をお膳立てするなど存在感を放った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 女子サッカー大国のアメリカは、世代交代のさなかで迎えた東京五輪では4強止まりだったが、依然として高い競争力を保ち、ヨーロッパ各国も年々女子サッカーのレベルが上がっている。

 そうした状況はクラブレベルにも影響している。今年3月に行なわれた女子のチャンピオンズリーグ準々決勝では、バルセロナの本拠地カンプ・ノウに9万1553人が詰めかけ、女子サッカーの観客動員数の世界記録を更新するなど人気面でも高まりを見せる。

「凄いですよね。見られているなかでのプレッシャーと責任感と喜びのなかでサッカーをやっている。そういう日常を経験できるのは大きいです。だからと言って、日本でそれがないから成長できないというわけではない。今後も考えていかないといけない課題ですね」

 昨年、女子プロサッカーリーグのWEリーグが発足したこともあり、選手たちにも少しずつ変化が見られるようになってきたという。

「自分たちがサッカーをする環境や仕組みと言いますか、プロ契約ができて、サポートしてくれるスポンサーもいて成り立っている。そのうえ、試合の放送があって、スタジアムにお客さんが入ってくれて初めて人々に伝わるという仕組みを実感できたことで、選手たちの意識は変わってきていると感じます。

 さらに代表チームが勝つことでもっと注目され、国内リーグにもお客さんが来てくれれば、見ていた子どもたちもサッカーを選んでやってくれるようになる。そういったつながりのようなものをみんな実感しているはずです」
 

来年の女子ワールドカップに向けて意気込みを語った池田監督。写真:滝川敏之

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 勝利によって注目度が上がり、プレーヤーが増える。競技人口が増えることで競争力が上がり、チームが強化される。そんな好循環を起こしたいという。

「日本の女子サッカー人口は登録選手人数でまだ5万人前後。トップのアメリカは160万人います。世界でも戦えるアスリートプレーヤーがより出てくるようにするには、グラスルーツからもっともっと広げていかないといけません。

 そのなかでいろんなタイプや特徴を持つ選手がサッカーをやってくれる環境を作り、選手層を広げる必要があります。また、アンダーカテゴリーで勝てたからといって、シニアとでは相手のレベルも、雰囲気も、力強さもまた変わり、違った世界です。

 世界と戦う免疫はあるとはいえ、本当にワールドカップでもう一度優勝するためには、自分たちらしさ、例えば武器である俊敏性、攻守のコレクティブさなど、良さを磨きつつも、もっともっとゴールへ向かうダイナミックさや、一人ひとりで状況を変えられる“個”の力が必要になってくる。

 さらに、アンダー世代からシニアになって更に成長する環境整備も必要ですよね。もちろんWEリーグができたように、日本も進んできています。日常の強度などもレベルアップしたいですね」

――◆――◆――

 インタビュー後に行なわれたなでしこジャパンの10月の活動では、U-20代表だった藤野あおば、浜野まいか、小山史乃観が招集され、ナイジェリア戦の69分から藤野と浜野が投入され、2戦目のニュージーランド戦では藤野がフル出場し、小山も代表デビューを飾った。

 一方で、熊谷を筆頭とした海外組に加え、猶本光や平尾知佳らWEリーグで活躍する国内組もスタメンに名を連ねるなど、様々な世代や環境に身を置く選手たちの融合が図られている。次はどんな選手たちが選ばれ、起用されるのか。池田ジャパンはそんなワクワク感に包まれている。

■プロフィール■
いけだ・ふとし/1970年10月4日生まれ、東京都出身。武南高、青山学院大を経てJリーグ元年に浦和でプロデビュー。現役引退の翌年、1997年から浦和のユースコーチとして指導者キャリアをスタート。福岡のコーチを経て2017年にU-19日本女子代表監督に就任。同年に女子アジア選手権を優勝し、翌年のフランス・U-20女子ワールドカップで世界一に導く。2019年から再びU-19女子代表監督を務め、女子アジア選手権で連覇するものの、翌年のU-20女子ワールドカップはコロナ禍で中止に。東京五輪後の2021年からは、なでしこジャパンとU-20女子代表を指揮する。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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