川崎は大逆転優勝を果たせるのか。鬼木達監督や選手たちが示す“奇跡”を起こす道筋

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年10月13日

まさに自分たち次第

京都戦では3ゴールを奪う。自分たちのスタイルを貫けているのも大きいだろう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 苦しい状況にしてしまったのは自分たちである。今季は思いもよらぬ様々なトラブルに見舞われたこともあって、多くの勝点を落としてしまった。

 不安や疑念、プレッシャー、もうミスが許されないシーズン最終盤では、様々な感情が沸き起こってしまうものだろう。

 それでも自分たちの力、スタイルを信じ、一戦一戦に集中して戦い切れるかが今の川崎に問われているのだろう。

 クラブとともに歓喜と絶望を味わってきた小林も言う。

「一番大事なことは目の前の試合で本当に戦うことだと思う。それがないと優勝というものが近づいてこないと経験しているので、とにかくチームを信じて、自分を信じて一戦一戦やっていくだけですね」

 小林と同じくチームを支え続けてきた登里享平も今後のポイントを説く。

「追う立場、追われる立場も経験してきているなかで、今までの勝点を落としてきたところもしっかり反省しなくてはいけないですが、そこを含めて経験を生かして、しっかりコミュニケーションを取りながら、今はできているかなと思います。

 ここからはメンタルの戦いになるので、ブレずにやり続けることが大事ですし、本当に自分たちのことに集中して取り組むこと。今日(京都戦)も嫌な時間もありましたし、隙をあたえないようにしなくてはいけないです。しっかり次につなげながら勝ち続ける。勝つことを意識してピッチ内で状況をくみ取りながら、振る舞うことも大事ですし、やっぱり上の選手が慌てないようにできればなと思います」
 
 指揮官、選手たちがシーズンを通じて常々口にしてきた、まさに自分たち次第である。他力だが、貫いた先の結果、パフォーマンスが横浜に与える影響があるのだろう。

 次戦はホームでの神戸戦、そして最終戦はアウェーでの“多摩川クラシコ”FC東京戦を控える。

 ここからは約2週間のインターバルを挟むことで怪我人が戻ってくる可能性もある。5連勝中の神戸は難しい相手であるが、ホームの利も生かしたところだ。

 鬼木監督は8日の清水戦後にこう話してくれていた。

「優勝争いなど云々もちろんありますが、それだけでなく、どうしても勝ちたかった」

 それは新型コロナウイルスの流行によって中断していた声出し応援が遂にホームで解禁されたからこそだ。

「あれが本来あるべき姿だと思うんです。当然、サッカーの魅力、勝ち負けだとかそういうものはいろいろありますが、でもやっぱり人の心が動かされるものってあると思うんです。だから応援のパワーも借りて、頼って、それがひとつのつながりだと思いますし、サポーターを含めてチームなので、勝ってみんなで喜べて、みんなで声出して喜べて本当に嬉しかったです」

 そして「間違いなく応援の力があった」と勝因を挙げていた。

 神戸戦でもその後押しを受け、最終節のFC東京戦へとつなげたい。笑っても泣いても今季は残り2試合。

 川崎は奇跡を信じて全力でぶつかっていく。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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