２試合連続スタメンから外れる形となった点について、日本代表MFは監督の決断に理解を示してはいる。

「僕はそれまでずっと出てたんで、(チームが)勝てなくなって、(メンバーを)外れるのはもちろん分かります。自分の価値をピッチ内で示さないといけないので、それは少しは出せたんじゃないかなと思う。また次切り替えてやるしかないかなと」

　だからといってスタメンから外れることに納得するわけはない。今季はコンディションもいい。開幕から５試合連続で出場し、どの試合も地元紙から高い評価を得ている。専門誌『kicker』の平均採点も「2.7」はソボツカと並んでトップタイの数字だ。

「自分のパフォーマンスが悪くないといったら変ですけど、ただ悪いとは全く思ってない。もちろん勝てなかったら変わらなくちゃいけないし、そこでもなお試合に出続けなきゃいけない部分もある。ただ自分のフィーリングは悪くない。もっと時間があれば、前半から出ていたら、勝たせられる可能性もあったのかなと思うんです」

　プレーに対するビジョンにぶれはない。自分のパフォーマンスへの自信もある。２節パーダーボルン戦に勝利した後こんなことを言っていた。
 

「いいところは継続して、どういうふうに点を取っていくのかっていう作業をより求めていかないといけないと思います。しっかりと崩せている部分、いい形でクロス上げてる部分もあるので、そこでどこに上げるのかとか、崩すときにもう一個中に行けるかとか、やっぱりそういう部分はすごく重要になるのかなと思う」

　まさに今チームに必要なところではないだろうか。試合に出られないと選手はどこかで不安になったり、余計なことを考えてしまう。そしていざ試合に出たときに無意識のうちに変な力が入ってバランスを崩してしまうことがある。田中もそこを一番危惧していた。

「自分のモチベーションだったり、メンタルの部分がぶれて、パフォーマンスが落ちるというのが一番良くない。自分自身のパフォーマンスには自信持ってるし、やれることもすごく増えてると思うので、あとは出たときに結果を残すことが重要。そうすれば、また開幕時みたいに全試合出れると思うので。自分がピッチでやり続けるだけだなと思います」

　自分がやるべきプレーに対して整理はついている。自分に求められているプレーも理解している。シンプルにやるべき時に小難しいプレーを選択したり、逆に一つ変化を加えられるときにあっさりクロスを放り込んでしまうチームに、確かな方向性をもたらしていきたい。

　シーズンはまだまだこれからだ。

取材・文●中野吉之伴

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