おぼろげながら徐々に見えてきた「小倉移転」後の青写真。
もうひとつの注目イベントは、クラブとして初めてシーズン途中で開催したファン感。新スタジアム建設地の真横にある北九州国際会議場のホールで行ない、約400人のサポーターらが選手たちとゲームやトークショーで交流を楽しんだ。
このファン感に先立って、同会場では新スタジアムを「ソフト」としてどう活かしていくかを考えるシンポジウムが、北九州市立大都市政策研究所の主催で開かれた。
ここでは地元の商工関係者や有識者らが、スタジアムを中心とした街づくりに関して意見を披露。ファン感が目当てだった人も議論に聞き入ったほか、展示された新スタジアムの模型を見て、ピッチの近さに感嘆の声も漏れた(新スタジアムは、座席最前列からピッチまで約8メートル、高さはピッチとほぼ同一レベル)。
また、小倉駅構内のショッピングセンターとのコラボイベントや、試合開催日に同駅スタッフがユニホームを着用するといった活動も続く。イベントは新聞やケーブルテレビに取り上げられ、サッカーをまだ観ていない人にも話題が広がりつつある。
じわりじわりだが「小倉移転」後の青写真が描けるようになってきたと言えそうだ。それでもまだ道半ば。新幹線駅から最も近くて、海からも最も近い、「駅チカ・海チカ」の街中スタジアムが熱狂する日まで、サッカーは街と人を豊かにすると信じて、まだ見ぬお客さんに訴え続けたい。
取材・文・写真:上田真之介(フリーライター)