【プレミア現地レポート】フーリガニズム復活の兆候か!? 暴力沙汰頻発のイングランド

カテゴリ:ワールド

松澤浩三

2015年09月23日

不満をため込んだ低所得層だけでなく、富裕層の若者の姿も…。

80年代、ファンの暴力はイングランド・サッカー界の進化を妨げた。写真は1985年のヘイゼルの悲劇。 (C) Getty Images

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 今年5月には、ロンドンを訪れていたニューカッスル・ファンとハル・シティ・ファンが集まったパブに、顔を隠した20~30人の男がビール瓶やグラスを手に押しかけて、襲撃した。
 
 バーンリーでも今年4月、シェフィールド・ウェンズデーのサポーターが襲撃された。バーンリーのサポーターで構成される暴力集団「スイサイド・スカッド(自殺スカッド)」の犯行で、その場で20人が逮捕されている。
 
 また下部リーグについてはあまり取り上げられないが、リーズやカーディフ、ミルウォールといった、武闘派として知られるサポーターたちが、大小の違いはあれ、様々な問題を頻繁に起こし続けている。
 
 テラス席の撤廃とともに、国内のフーリガニズムはなくなったとされてきた。しかしながら、この問題が消え去ったことは一度もなく、いまだに続いている。それどころか、最近になり、その頻度は上がっているようだ。
 
 スポーツを中心にした時事を取り扱う「BBCラジオ5」のリチャード・コンウェイ記者は今年3月、次のように解説していた。
 
「UEFAを含めた欧州の各サッカー協会は、過去数年間にわたり、差別主義者や過激派、ナショナリズム主義者問題に立ち向かってきた。フーリガンは過去の問題と考えられてきたが、現代にも存在する」
 
 移民問題や貧富の格差が大きくなり、英国を含めた欧州各国では、自身の生活や実情に満足していない労働階級や低所得者層が数多く存在する。2011年にロンドンの若者を中心に国内全体で起こった、暴動にも同様の背景があった。
 
 これらは社会的・政治的な問題であり、各国サッカー協会だけで簡単に解決できる話ではない。
 
 さらに、こういった非社会的行為をする人間の一部には、富裕層の若者たちの姿もある。インターネット上で出会って、示し合わせて暴力活動に手を染めているというのだ。
 
 つまりこれは、低所得者層だけでなく、モラル低下の著しい歪んだ社会全体の問題とも言える。
 
 しかしながら、忘れてはならないのが、これらは真のフットボール・ファンではなく、ただの暴力主義者であるということだ。これらはほんのひと握りの人間の行為であり、イングランド国内のほとんどのサッカーファンは明るく楽しく、フットボール観戦をしている。
 
 また、フーリガニズムに対する警察の取り締まりは依然厳しく、さらに監視カメラがそこかしこに設置されているため、以前よりも簡単に検挙できるようになった。
 
 イングランドのサッカーは熱い。プレミアリーグでは、他リーグでは味わえないエキサイティングな試合を楽しめる。
 
 しかし、もしスタジアムを訪れる機会があれば、問題に巻き込まれないように注意してほしい。「紳士の国」のイメージが強いこの国だが、19世紀にフーリガン文化が発祥した地でもある。一度根付いた文化は、残念ながら、なかなか消えることはないようだから。
 
文:松澤浩三

プレミアリーグ誕生で状況は大きく改善されたが、社会情勢がもろに投影されるというこの国のサッカー界の特徴は、完全には消えていないようだ。写真は60年代のスタジアムの風景。 (C) Getty Images

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