これで見放されるほど、指揮官からの信頼は薄っぺらくはない。
マンU戦の後に筆者が思い出していたのは、2年前の12月に行われたアストン・ビラ戦だった。平日のナイトゲーム。期待薄でイングランド南部に乗り込んだが、良い意味でその期待は裏切られた。吉田はCBとして先発出場したのだ。
しかし……久々のリーグ戦出場に、完全にやる気が空回りして、ハーフウェイライン付近で不用意に飛び出し、敵FWにあっさりと振り切られて先制を許してしまった。
あの瞬間、吉田のサウサンプトンでの未来はないと感じた。しかし彼はその後、必死にアピールし続けて、ここまで這い上がってきた。
今シーズンの吉田は、マンU戦のミスの場面を除けば、今まで見てきたなかで最も自信を持ってプレーをしている。プレーぶりには落ち着きと安定感が備わっている。
一方、不動のCBフォンテには、過去2シーズンほどの安定感が見られず、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)戦では「パーフェクト」(クーマン監督)だったフィルジル・ファン・ダイクも、マンU戦では凡庸なCBに映った。
つまり、今後も吉田が自分の仕事をし続ければ、再びチャンスが訪れる可能性はあると考えるのが普通だ。前述のWBA戦後の取材で、吉田は「ここから競争が始まる。この2年もそうだが、今年もすごく良い競争相手だと思う」と語っていた。
築き上げてきた信頼を失うのは簡単だ。それでも、一度のミスで見放されるほど、指揮官の吉田に対する信用は薄っぺらくない。
前にあるのはいばらの道。それは否定しない。しかし、これまでにも厳しい試練を乗り越えてきた吉田であれば、今回のハードルを乗り越える術もきっと心得ているはずだ。
文:松澤浩三
しかし……久々のリーグ戦出場に、完全にやる気が空回りして、ハーフウェイライン付近で不用意に飛び出し、敵FWにあっさりと振り切られて先制を許してしまった。
あの瞬間、吉田のサウサンプトンでの未来はないと感じた。しかし彼はその後、必死にアピールし続けて、ここまで這い上がってきた。
今シーズンの吉田は、マンU戦のミスの場面を除けば、今まで見てきたなかで最も自信を持ってプレーをしている。プレーぶりには落ち着きと安定感が備わっている。
一方、不動のCBフォンテには、過去2シーズンほどの安定感が見られず、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(WBA)戦では「パーフェクト」(クーマン監督)だったフィルジル・ファン・ダイクも、マンU戦では凡庸なCBに映った。
つまり、今後も吉田が自分の仕事をし続ければ、再びチャンスが訪れる可能性はあると考えるのが普通だ。前述のWBA戦後の取材で、吉田は「ここから競争が始まる。この2年もそうだが、今年もすごく良い競争相手だと思う」と語っていた。
築き上げてきた信頼を失うのは簡単だ。それでも、一度のミスで見放されるほど、指揮官の吉田に対する信用は薄っぺらくない。
前にあるのはいばらの道。それは否定しない。しかし、これまでにも厳しい試練を乗り越えてきた吉田であれば、今回のハードルを乗り越える術もきっと心得ているはずだ。
文:松澤浩三