• トップ
  • ニュース一覧
  • 連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】「元に戻った」鹿島が示す、なにより大事なサッカーの本質

連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】「元に戻った」鹿島が示す、なにより大事なサッカーの本質

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年09月20日

ブームを追いかけまわしても、結局、なにひとつ得られない。

小笠原らが受け継いできた勝利への厳しさが、今の鹿島の好調を支えている。(C)J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

「自分が監督になり、チームが変わったというより、元に戻ったという表現のほうが合っていると思う」
 
 もうひとつ突っ込んで、具体的にはなにを大事にしているか尋ねてみた。
 
「それは最低限、戦う姿勢を見せるということです。そして球際ではしっかり勝つことを大事にしている。あとは選手自身が“自分たちがやらなければならない”という気持ちを持っていることが大きいと思う。勝負へのこだわりがあるんです」
 
 ひと言でいえば、ジーコ時代から脈々と受け継がれてきた勝利への厳しさが、今の勝利をもたらしているということだ。
 
 私は、鹿島は日本でも稀有なチームだと考えている。それは多少の浮き沈みはありながらも、Jリーグ20年の歴史で常にタイトル争いを繰り広げているからだ。
 
 こういうチームは他にはない。東京V、磐田、横浜、浦和、名古屋など多くのチームが頂点に立ったが、いわゆる「黄金メンバー」が抜けていくと弱体化を余儀なくされた。
 
 だが時代が移り変わっても、鹿島はいつも優勝争いを演じている。それはしっかりと築き上げられた哲学、精神を、新しい世代に受け継ぐことができているからだ。石井監督が述べたように、彼らには困った時に立ち返る場所がある。こういう組織は強い。
 
 思えば日本サッカー界では、トルシエのフラット3やオシムの走るサッカー、ハリルホジッチの縦のサッカーなど、4年周期で方向性が大きく変わる。しっかりとした自分がないため、大きな舞台で敗れるたびに右往左往しているのだ。ブームを追いかけまわして、結局、なにひとつ得てはいない。
 
 最先端を知るのは重要なことだ。日本らしさの追求も忘れてはならない。だが、サッカーの本質、勝負の本質をしっかりと理解するのは、もっと大事なことではないだろうか。
 鹿島の戦いぶりは、そういうことを雄弁に物語っている。
 
取材・文:熊崎敬
【関連記事】
【J1採点&寸評】甲府×鹿島|スコア以上に圧倒した鹿島。金崎やカイオらが躍動
【鹿島】就任以降、リーグ戦で6勝1敗。常勝軍団を蘇らせた石井監督の秘策とは?
【川崎】楢崎「まんまとやられた」、闘莉王「川崎は何枚も上」。ハリルの前でハットトリックの大久保が3年連続得点王へ邁進
【仙台】指揮官の評価にも満足はせず… 20代の新サイドハーフコンビは先輩コンビを超えられるか
連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】サッカーの奥深さを伝える松本の「汚いボール」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ