今シーズンのビーレフェルトにとって、カギを握るのは間違いなく奥川だ。初戦のザンドハウゼン戦ではチームに軽率なミスパスが多く、ロングボールから危ないシーンを迎えたり、守備でも人数がそろっていながら、相手にフリーでシュートを許すなどちぐはぐな面も少なからずあった。

　この辺りに関しては、奥川も指摘をしていた。

「正直相手がどうというよりも、自分たちのサッカーをやれるかどうか。相手チームにロングボールが多いというのは、シンプルなプレーですけど、それが一番怖い攻撃だなと思う。チームとしてまずはゼロで抑えるのが大事かなというのは、２部にきて思いましたね」

　フォルテ監督は試合後の記者会見で「簡単な試合にはならないことはわかっていた。いい形で試合に入って最初にビックチャンスを作ったが、その次のシーンで失点してしまった。ナーバスになっていたようだ。同点にした後ゲームをコントロールできていただけに、２失点目を許してしまったのはもったいない」と振り返っていた。
 

　この試合では先に失点をし、さらに後半開始直後に２枚目のイエローカードでMFシルバン・シドラーが退場処分に。そんな難しい試合展開ながら一時は同点に追いつくことができたのは、奥川の力によるところが大きい。

　ゴールを狙えるポジショニングから滑らかなボールコントロールとためらいのないシュートへの移行。そして相手の立ち位置を把握しての冷静なシュート。相手守備網をこじ開けた日本人アタッカーは、得点源としてかけがえのない存在だ。どのように生かすかのか、１試合を通して得点チャンスがほとんど作れなかったところにどう着手するのか、守備のコントロールをどうするのかというところと合わせての改善策が必要になる。

　フォルテ監督も「前半、少しナーバスだったかもしれないが、マサヤは大事な選手で、チームに喜びをもたらしてくれる選手だと思っている。今週ちょっと、太ももに問題があったというのもあったのだが、素晴らしいゴールでチームを助けてくれた」と今後へのさらなる期待を口にしていた。

　ビーレフェルトは第２節もレーゲンスブルクに０―３で敗れ、昨シーズンの23節ウニオン・ベルリン戦に１-０で勝利して以来、リーグ戦13戦連続で未勝利となった。この嫌な流れを断ち切る奥川の活躍を期待したい。

文●中野吉之伴

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