【CLポイント解説】ボール支配率7割のバルサを無力化したローマの攻守における巧みさ

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年09月17日

大番狂わせも不可能ではなかった…フィニッシュに悔いを残す。

ローマの堅守でもメッシ(右)を止めることはできなかったが、それ以外の選手を無力化したことで、バルサを苛立たせた。左は先制点のスアレス。 (C) Getty Images

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 バルセロナのシュート18本中、半分の9本がメッシによるものであり、他の9本もスアレス、ジョルディが後半に得た2度の決定機を含め、多くがメッシのアシストから生まれている。
 
 逆に言えば、ローマはメッシという抑えようのないタレント以外、戦術的に対応可能な部分に関しては、ほぼ完璧にバルセロナを抑え込んだということになる。スアレスは持ち前の得点感覚で4度ほどフィニッシュに絡んだが、ネイマール、イニエスタはほとんど目立った仕事をさせてもらえなかった。
 
 
■ポイント3
カウンターの好機を活かし切れなかったローマ
 
 ローマが70パーセントのポゼッションを敵に許しながらも、やられっぱなしにならなかった唯一最大の理由は、常にカウンターアタックの刃をバルセロナに突きつけていたことにある。
 
 最前線でターゲットとなったゼコは、相手が対策としてCBにマスチェラーノではなく、より体躯のあるマテューを起用してきたにもかかわらず、そのマテューを背負いながらも、ほとんどの縦パスを収めてチームの攻め上がりを助けた。
 
 そして右ウイングのサラーはその爆発的なスピードを活かし、攻撃時に高い位置まで進出するジョルディの裏を狙ったカウンターからのドリブルで、一気にゴールに迫る場面を再三作り出す。
 
 その圧倒的なスピードに見合うだけの繊細なボールコントロールを持たないとう技術的な限界から、タッチが長くなってフィニッシュまで持ち込めずに終わった場面もあったが、バルセロナにとってサラーの突破は、常に脅威であり続けた。
 
 ローマが悔やまれるのは、こうして作り出したカウンターのチャンスを十分に活かし切れなかったこと。2対2、3対3になった好機をせめて一度でもシュートに繋げていれば、ジャイアントキリングも不可能ではなかった。
 
 それだけで終わっていれば、善戦したものの一度だけ許した絶対的な決定機が致命傷となって惜敗、というありがちな展開になるところだった。それを引き分けというポジティブな結果に持ち込んだのは、フロレンツィの信じられないタッチライン際からの60メートルロングシュートだ。
 
 自陣の深いところからドリブルで持ち上がり、ハーフウェイラインを越えたところで、大きく前に出ていたGKテア・シュテーゲンを見て右足を一閃!! 思い切り良く蹴り込んだこのシュートは、おそらくシーズンを通して語り継がれる、ベストゴールのひとつとなるだろう。
 
文:片野道郎

状況判断の良さと思いきりの良さで貴重な同点ゴールを生み出したフロレンツィ(右から2人目)。ローマは最大の敵相手に勝点1獲得という上々のスタートを切った。 (C) Getty Images

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