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「日本を愛する彼には残酷で不条理」神戸・ロティーナ監督の電撃解任をスペイン人記者はどう見た?「イニエスタを指導したいという気持ちが…」

カテゴリ:Jリーグ

ファン・L・クデイロ

2022年07月19日

素顔のロティーナは世間一般的なイメージとかけ離れた人物

Jでは4クラブ目の指揮となった神戸では結果を残せず。写真:滝川敏之

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 指導者に転身した後も、ロティーナのフットボール観は一貫していた。チームのための犠牲精神を説き、本人曰く「組織化された才能」に満ちたチームを作り上げた。「フットボールにおいて絶対的な真実は存在しない。私はいつも疑いながら生きている」という彼の言葉は、実直な人柄が表れている。

 ロティーナは新たな戦術を提示したり、自ら吹聴したりするタイプの監督ではない。いや、むしろ自分の弱さをさらけ出すことにまるで躊躇しない。

 デポルティボを率いていた時のことだ。自身がモチベーターとしての能力に欠けていることを悟った彼はスポーツ心理学者の手を借りることを決めた。今よりもスポーツ心理学者が現場に携わることがタブー視されていた時代だ。しかも、ロティーナはさらりとその事実を公表した。

 寡黙で物思わしげ、独特のしかめっ面は時に悲壮感が漂う。しかし素顔のロティーナは、そんな世間一般的なイメージとかけ離れた人物だ。美食を愛し、ワインに精通する彼と夕食を共にすると、誰もが楽しく愉快な会話と、誠実で気高い性格の虜になるだろう。

 そしてそんな人柄の彼だからこそ、日本での穏やかで落ち着いた生活に心地よさを感じていた。「日本人は気高さと誠実さを持っている」。彼は地元の友人にこう話している。スペインでは、いまだにネガティブなイメージが消え去っていない。しかし日本では過去の苦い思い出を忘れ、ありのままの自分でいることができた。
 しかし、今回は新天地の選択を誤った。あるいはイニエスタを指導したいという気持ちがはやり、盲目になったのかもしれない。どうして神戸が過去5年間で9度監督交代していることに留意しなかったのだろう。

 そのようなクラブでは、じっくり腰を落ち着けてチームを構築するロティーナの良さを発揮するのは難しい。すでに65歳となり、監督キャリアの晩年を迎えている彼だが、今も昔もプロジェクトの大小に関係なく、次の行き先を決めていた。常に明瞭さと一貫性に基づいたプロジェクトであるかどうかを最優先事項に位置づけていた。

 日本を愛するロティーナがこのような形でJリーグでのキャリアの幕を閉じるのは残酷で不条理だ。そう、このままではスペインと同じだ。彼を良く知る一記者として、日本で再挑戦の機会が与えられることを願ってやまない。

文●フアン・L・クデイロ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
 
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