「ゴール前では手早く」の強迫観念? 足りない変拍子。
ミドルシュートに加えてもうひとつ気になったのは、崩しの形が一本調子だということ。
勢いに任せて敵陣に突入していった前半に比べると、後半は横パスを回しながら弱点を探ったり、互いの呼吸で崩そうとするシーンは増えた。だが、まだまだ物足りない。
この試合に限らないことだが、日本はスピードに頼りすぎている。
例えば前半は本田との連携から、酒井が何度も右サイドをえぐった。右ポストに近い、もう一手で詰みという絶好のポジションを何度も取っているのに、クロスはほとんど味方につながらなかった。スピードに任せて、単調にクロスを上げているからだ。
スピードを緩めて中の選手と呼吸を合わせてもいい。だが、そうした駆け引きは見られなかった。
酒井に限らず、日本の選手はゴール前に行くほどスピード頼みになり、その結果、肝心なところで空振りやキックミスをしてしまう。プレッシャーの厳しいゴール前は、手早くプレーしなければならないという強迫観念があるからだろう。
だが、考えてほしい。相手はカンボジアなのだ。もうちょっと落ち着いてプレーしてもよかったはずだ。
87分、宇佐美が香川との小さなワンツーから左サイドを破るという場面があった。キーパーに当ててしまったシュートの拙さはともかく、ワンツーは遊びのようにリラックスしたものだった。肩の力を抜き、落ち着いてプレーすれば、あれくらいのことはできるのだ。
日本のプレーは観ていて次が予測できる。
それはプレーに変拍子がないからだ。不意に立ち止まる、ボールを浮かせてみる、角度を変えるといった変化がない。香川は頻繁に切り返しをするが、それも一定のリズムの中でのこと。敵はすぐに慣れてしまう。5メートルのパスでも普通に出したくないという、ロナウジーニョのような天性の遊び人がいない。
本来、遊びであったはずのサッカーはプロリーグができたことで教わるものになり、遊びの精神がなくなっていく。テクニックはあるのに駆け引きができない、一本調子のサッカー。これを変えるのは容易なことではない。
取材・文:熊崎敬
勢いに任せて敵陣に突入していった前半に比べると、後半は横パスを回しながら弱点を探ったり、互いの呼吸で崩そうとするシーンは増えた。だが、まだまだ物足りない。
この試合に限らないことだが、日本はスピードに頼りすぎている。
例えば前半は本田との連携から、酒井が何度も右サイドをえぐった。右ポストに近い、もう一手で詰みという絶好のポジションを何度も取っているのに、クロスはほとんど味方につながらなかった。スピードに任せて、単調にクロスを上げているからだ。
スピードを緩めて中の選手と呼吸を合わせてもいい。だが、そうした駆け引きは見られなかった。
酒井に限らず、日本の選手はゴール前に行くほどスピード頼みになり、その結果、肝心なところで空振りやキックミスをしてしまう。プレッシャーの厳しいゴール前は、手早くプレーしなければならないという強迫観念があるからだろう。
だが、考えてほしい。相手はカンボジアなのだ。もうちょっと落ち着いてプレーしてもよかったはずだ。
87分、宇佐美が香川との小さなワンツーから左サイドを破るという場面があった。キーパーに当ててしまったシュートの拙さはともかく、ワンツーは遊びのようにリラックスしたものだった。肩の力を抜き、落ち着いてプレーすれば、あれくらいのことはできるのだ。
日本のプレーは観ていて次が予測できる。
それはプレーに変拍子がないからだ。不意に立ち止まる、ボールを浮かせてみる、角度を変えるといった変化がない。香川は頻繁に切り返しをするが、それも一定のリズムの中でのこと。敵はすぐに慣れてしまう。5メートルのパスでも普通に出したくないという、ロナウジーニョのような天性の遊び人がいない。
本来、遊びであったはずのサッカーはプロリーグができたことで教わるものになり、遊びの精神がなくなっていく。テクニックはあるのに駆け引きができない、一本調子のサッカー。これを変えるのは容易なことではない。
取材・文:熊崎敬