34本で3得点……日本のシュートはなぜ決まらないのか?

カテゴリ:日本代表

熊崎敬

2015年09月04日

ミドルシュートが少ないのは「崩す」意識で縛られているから?

34本のシュートを放ちながら、日本はわずか3得点に終わった。効果的なミドルも、決まった本田と吉田の2本を除けば少なかった。 (C) SOCCER DIGEST

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 ボール支配率73.9パーセント、放ったシュートは34本。
 
 終始、カンボジアを圧倒しながら、日本は3点しか決められなかった。日本のシュートはなぜ決まらないのか、私は記者席で、そればかり考えていた。
 
【PHOTO】日本 3-0 カンボジア

 3点中2点は、ペナルティエリア外からのシュートによって生まれた。
 
 ワンステップで撃ち抜いた本田の無回転シュート、後方から走り込み、左隅に突き刺した吉田のシュートを見ると、ゴール前を固められた中で得点するには遠目からのシュートが有効だということが改めてわかる。
 
 だが、この2本を除いて有効なミドルシュートは少なかった。
 
 ミドルシュートが少ないのは、選手たちの意識が崩すことで縛られているからだろう。
 
「崩す」という言葉は日本代表のみならず、Jリーグの現場でよく耳にする。「ゴールは決められなかったが、何度も相手を崩した」と言ったりするが、こういうのは崩すことが目的化している。
 
 7、8人がペナルティエリアを固めるカンボジアの守備は、そう簡単には崩せない。崩せないものを、無理に崩そうとする必要はない。遠めから狙えばいいだけだ。だが発想に柔軟性がない、言い換えればまじめな日本の選手は密集地帯へと突っ込んでいく。
 
 だが、これは選手だけの問題ではない。パスで崩すのがいいサッカーだという考えが、日本には蔓延しているからだ。
 
 サッカーはゴール数を競うスポーツであり、フィニッシュの形を競うものではない。きれいに崩しても1点は1点だ。
 
 もちろん、本田と吉田のゴール以外にもミドルシュートはあった。例えば山口は4本のミドルを放っている。だが、枠を捉えることはなかった。力のないシュートがバーを越えていく。
 
 遠めから狙う発想が希薄な日本の選手は、パスばかりつなぐので強いキックが上手くない。しっかりと軸足を踏み込んで、ボールに力を与えることができていないからだ。
 
 こうなるとシュートレンジは広がらず、遠目から狙うという発想そのものがなくなっていく。
 
 現役時代の釜本さんは、練習での対人パスでも相手を逆サイドのポストに見立てて、ひたすら強いキックを蹴っていたという。
 
 恵まれた環境でプレーするいまの選手は指導されるのが当たり前。どうしたら強いキックができるのか、狙ったところに蹴ることができるのか、自発的に取り組んだりしないのかもしれない。
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