伊藤洋輝のポテンシャルを徹底解剖! プレス回避の“キャンセル”に見る優れた判断力

カテゴリ:日本代表

河治良幸

2022年06月05日

攻守のセットプレーで高さをプラスできるメリットも

左SBで及第点以上のパフォーマンスを披露。縦のコンビでは三笘以外の選手と組んだ時のプレーも注目ポイントのひとつに。写真:塚本凛平 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 また27分には堂安、原口、鎌田がつないで左の三笘が右足でシュートを打った場面でも、伊藤がタイミング良く外側から追い越す動きをすることで、パラグアイ守備陣の意識を外に引きつける効果を生んでいる。

 33分には堂安のサイドチェンジから三笘が左のペナ角で受けると、サラテがマークに行って生じたボックス内のギャップを突いて追い越し、クロスでCKを獲得した。

 26分の先制点の場面では、伊藤は前線の浅野にフィードした判断について「僕はちょっとプレッシャーをかけられたので、それを回避するためにじゃないですけど、拓磨君が目に入った」と振り返る。

「なるべく低く蹴ろうと思いましたけど、高いボールを何とか収めてくれたので、まあ僕がっていうよりは拓磨君が収めてくれたことに感謝したい」

 伊藤はそう振り返るが、シュミットからボールを受けて、そこから浅野を使って原口のスルーパスによる中央突破を演出する形は、日本に新しい武器をもたらすと言っても過言ではない。

 その一方で、センターバックに回った後半に、自身の縦パスがカットされ、唯一の失点につながるミスをしてしまったことについては「完全に読まれてたんで、そこでセンターバックがリスクをかけてまで縦パスを入れるべきじゃない」と反省した。

 最終予選では長友と中山がテレコのような形で務めてきた左サイドバックだが、本大会に向けて強化が必要なポジションの1つで、だからこそ森保監督も伊藤のような選手をここでテストしたのだろう。伊藤はセンターバックが本職と言っても、3バックの左がメインの選手だけに、4バックでは中央にこだわる必要もない。
 
 もちろん本人も手探りの状況だが、伊藤が左サイドバックに入ることで、ビルドアップに柔軟性が出ることに加えて、186センチのサイズを活かし、攻守のセットプレーで高さをプラスできるメリットも大きい。大型のウイングが対面に来ても安心感がある。3バックをオプションとして導入する場合はさらに強みになりそうだが、左サイドバックで長友とも中山とも違う特長をいきなり示したインパクトは確かなものがある。

 菅原が怪我のため離脱したことで、サイドバックは左右ともに残り3試合のやりくりが難しくなった状況だが、例えば長友が右に回れば伊藤が左サイドバックで起用されるチャンスも増えるはず。今回は縦のコンビがサイドアタッカーの三笘だった。

「自分も上がれるタイミングがあったからこそ行った。薫君は1対1だったらスペースがあったほうがいいと思うし、自分が行くのか行かないのかってところをもっとお互い話し合いながら、共有しながらやっていければいいと思います」

 そう前向きに課題を語る伊藤だが、よりストライカー色の強い南野拓実、スピードスターの前田大然と組んだ時にどういうプレーができるかも楽しみなポイントだ。

取材・文●河治良幸

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