【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の三十三「監督の力量とは」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年08月26日

少なくとも、日本人選手はアジアで対等以上に戦うだけの実力を持つ。

プレミアリーグで評価を上げている岡崎らを筆頭に、今でも日本人選手はアジアで対等以上に戦える力を持っている。もしチームが機能性を欠くとすれば、ハリルホジッチ監督の仕事にも見直しが必要のはず。(C)Getty Images

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 東アジアカップの韓国戦で先発した太田宏介(FC東京)は左足のキックに定評のある左SBで、セットプレーでは大きな武器となる。主導権を握った試合展開では、攻撃面の長所を出せるSBと言えるだろう。
 
しかし受け身に回る状況では、1対1の弱さなどの弱点を露呈しかねない(欧州のクラブだったら、彼はSBよりももうひとつ前のポジションで起用されるケースが多いだろう)。
 
 ハリルホジッチは守備ブロックを作った布陣で韓国戦に挑んでいるが、結果として太田の左サイドは狙われていた。守備面の間合いが悪く、出足でも劣ってしまう太田は、敵の集中攻撃に遭って苦しんでいる。先制点を奪われたシーンも、左サイドを完全に崩されていた。クロスボールから森重真人がハンドでPKを与えることになり、太田は後半途中までほぼ攻め上がれていない。これでは宝の持ち腐れだ。
 
 9月3日のカンボジア戦、8日のアフガニスタン戦とワールドカップ・アジア2次予選では、海外組も含めたベストメンバーで真剣勝負を戦うことになるだろう。岡崎慎司はプレー強度の高いプレミアリーグにもしなやかに適応する能力を示し、長谷部誠もフランクフルトで老獪さを見せている。
 
 少なくとも、日本人選手はアジアで対等以上に戦うだけの実力を持つ。もし、チームが著しく機能性を欠くとすれば、ハリルホジッチは日本サッカーの長所と短所を見直す必要がある。
 
 ワールドカップ2次予選での勝利は至上命題として、選手たちの特性を活かせるのか?
 
 ハリルホジッチの選考、采配が注目される。
 
 
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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