【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の三十二「ストライカーの条件」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年08月21日

時代の流れとともに変化するものの、クオリティと有効性は欠かせない。

バスク代表監督でご意見番のエチャリから、スペイン最高のCFと絶賛されるアドゥリス。無闇に動かず、ゴール前の仕事場で力を発揮するクラシカルなタイプと言えよう。写真:Getty Images

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 現代における一流ストライカーの資質とはなにか?
 
 モダンフットボールにおいては、ポゼッションの流動性が欠かせない。ストライカーも例に漏れずサイドへと流れ、逆にサイドの選手が中に入る。そうした連動によって、相手の堅い守備を破綻させる。FCバルセロナのウルグアイ代表FWルイス・スアレスが「クレバー」と評される理由は、他の選手の癖まで読み、味方の良さを引き出せるのと同時に自分の良さも出せるからだ。
 
 動きの質の良いストライカーは、やはり重宝される。
 
 しかしクラシックフットボールの視点で言えば、“動きすぎる”ストライカーは評判が悪い。前線で構えて起点になり、ゴールのポジションも取れる“動き過ぎない”ストライカーのほうが良しとされる。
 
「スペイン人最高のCFは、アスレティック・ビルバオのアドゥリスだろう。彼はゴールの近くで仕事ができる。ボールをゴールに叩き込むポジションを心得ているし、そのタイミングが良い。しかも、DFとの駆け引きにおいてずる賢く、心理戦に勝てる。老練さを感じる」
 
 バスク代表監督で、レアル・ソシエダで長年様々な役職を務めてきたミケル・エチャリはそう語っている。
 
「良いFWはタイミングを測れる。いるべき場所も知っている。動いていると目立つが、必死に動いていればいい、というモノではない」とエチャリは補足した。
 
 動く――。
 
 その捉え方は時代の流れとともに変化するものの、クオリティと有効性は欠かせない。質が悪く効率が低いなら、動かずに真ん中で“ゴールを仕留める”プレーを追求するべきだろう。いくらスプリント回数が多く、トップスプリンターであっても、その精度が低いなら、益体もない。
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